宇部の家 工事開始

宇部の家の工事がついに始まりました。
 
築85年の木造家屋は地盤の不同沈下などにより
あちこちに骨組みの歪みが発生しています。
 
その歪みを矯正するために基礎が接している地面を掘り下げ
コンクリート基礎を打設し、ジャッキによって家のレベルを矯正します。
 
 
 
 
 
 
家をジャッキアップするため、
基礎とつながっている玄関土間などのコンクリートを解体しています。
 
 
 
 
 
 
玄関の引違い戸は愛着のある一品のため
建主と相談し、再利用する予定です。
 
 
 
 
 
 
玄関引戸の敷居レールも年季の入った質感に味わいがあり
できるだけ再利用したいと考えています。
 
 
 
 
 
 
家の西側の座敷部分はかなり地盤が下がっているため
基礎下の地面を彫り込んで矯正していきます。
 
 
 
 
 
 
基礎の長石の下にあった土は、新たなコンクリート基礎のレベルまで掘り下げ
レベル調整するためのジャックで支えていきます。
 
これらの工事は機械で行うことのできない人力の仕事になるため
それなりの時間と手間がかかります。
 
それでも、これらの手間をかけることによって
これからの何十年かを愛着のある家とともに
安全に暮らすことを可能にしてくれるのです。
 
 

水の郷

一面に水が張られ、田植えを待つ山里の風景
新たなプロジェクトの関係で湯野地区の風景を見てきました。
 
 
 
 
 
 
棚田の水鏡に映り込む青空が美しい。
梅雨入り前の棚田では一斉に田植えが行われていました。
 
 
 
 
 
 
ほとんど湖のよう
 
まるで土地という土地すべてが水に満たされたような風景は
アスファルトに覆われた市街地に住む人間にはとても新鮮です。
 
 
 
 
 
 
水しぶきを上げながら、滔々と湧き出してくる清らかな水
山から湧き出した水は水路を通じてそれぞれの田んぼに導かれていきます。
 
あちらこちらに水の音が響き、豊富な水があふれる郷は
自然の豊かさを感じさせてくれます。
 
 
 
 
 
 
棚田の石垣と水田の苗
 
これらはあくまで人間がつくり出したものですが
不純物のない自然物だけでできた風景はなんとも美しい。
 
 
 
 
 
 
石垣は自然石を巧みに積み上げたランダムなもので
自然の形に寄り添いながら人間の知恵が加わってできています。
 
 
 
 
 
 
こちらの棚田はやや新しいものか・・・?
石垣のうねる曲線が現代建築のような造形にも見えます。
 
 
 
 
 
 
 
こちらはおまけですが
太陽の光を受けて黄金色にかがやく麦畑と新緑の山並み、そして青空
何気ないですが、みじかな場所にもこんなに美しい風景が存在しています。
 
 
 
 
 
 
山の中腹まで登って見下ろした湯野の郷
 
周囲の山に囲われた、すり鉢状の土地が
山から湧いてくる豊かな水の受け皿になっていることがわかります。
 
特別な何かがあるわけではないけれど
こんなにも豊かな郷だったのかと、再認識させられました。
 
豊かな自然に抱かれた水の郷は
じわっとインスピレーションを与えてくれました。
 
 
 

 

「つなぐ」をデザインする

 
大学卒業後、10年間、建築設計を一から教えてくださった北山さんから
最新の作品集が届きました。
 
集大成とも言えるこの作品集のテーマは「つなぐ」
 
40年以上にわたり、まちと人、景色と人、そして人と人をつなぐ建築を意識して
建築だけで完結するのではなく、周囲のまちや景色とのつながりのなかで
建築をデザインしてきた作品をみることができます。
 
 
 
 
 
 
 
最近作の草津温泉再整備計画
 
時代の変化で衰退しかけていた草津温泉の個性を丁寧に読み取り
10年以上の時間をかけて、点から線へ、線から面へと計画を展開し
少しずつ個々のスポットを改修しながら全体の回遊性を高めていった
エリアリノベーションのお手本のようなプロジェクトです。
 
4年前、現地で計画中の敷地を北山さんが案内してくれたので
完成した姿を見ると、まさに、ビフォーアフターを実感します。
 
テレビの中継で映し出される有名な湯畑周辺の賑わいには
この再整備の計画が大きく貢献しているということがよくわかります。
 
 
 
 
 
 
 
作品集には過去の事例を多く取り上げられており
若い頃に関わった福岡のベイサイドプレイス博多埠頭も掲載されています。
 
当時はバブル全盛で、派手さや豪華さばかりが求められるなか
建物と港の間にあえて広々としたウッドデッキのスペースを設けて
人々がゆったりと過ごせる空間のゆとりを生み出したデザインは
今の時代にも通ずる考え方だと思います。
 
建築自体のデザインは時代とともに変化していきますが
「つなぐ」という考えには時代を超えた普遍性があり
様々な形で私の設計にも受け継がれています。
 
 
 

 

天空のオアシス こぞら荘

 
おおらかな景色を望む山の上に置かれた小さな小屋
 
少し前になりますが、
大阪へ行った帰りに淡路島のこぞら荘を訪れました。
 
1日3組限定の宿と雑貨やお菓子の店からなる複合施設で
少し離れた別敷地にはカフェもあります。
 
 
 
 
 
 
素朴な門柱の向こうには雑貨とお菓子の店、
その間の通路を抜けるとその先は広場になっていて
山並みを遠望できるおおらかな風景に開かれています。
 
 
 
 
 
 
広場の奥には2階建ての宿泊棟が建っています。
 
建築のデザインとして見るならば、かなりの薄味ですが
淡いグレーの外壁や水平を意識したシンプルな屋根や手すりなど
余計な虚飾を排しながらも、端正にデザインされています。
 
 
 
 
 
 
雑貨店の入口
 
吟味された木製のビンテージドアや手作りの雑貨、照明やサインなど
それぞれのオブジェが店のコンセプトをそのまま表しています。
 
 
 
 
 
 
雑貨店の脇にあるトイレの入口
 
消毒液が置かれた台は控えめなしつらえですが
簡素ながら繊細なアレンジは茶道の精神にも通ずるようです。
 
 
 
 
 
 
お菓子の店のサイン
 
黒いプレートに小さくひらがなで書かれた店のサインも
本当にさりげなく簡素なものですが、繊細さと柔らかさが感じられます。
 
 
 
 
 
 
お店で提供されているオリジナルマフィンは、
種類が豊富で選ぶのが悩ましいほどです。
 
せっかくなので数種類のマフィンを購入、
淹れたてのコーヒーとともに、風景を眺めながらオープンカフェで一服。
 
 
 
 
 
 
それぞれの建物(小屋)は余計なデザインのない簡素な佇まいで
それらが動線や風景との関係を意識して丁寧に配置されています。
 
 
おおらかな風景のもつ豊かさを壊さないように
作りすぎず、飾りすぎず、控えめながら、ほどよいバランスで
豊かな場を生み出しています。
 
まさに天空のオアシスのような心地よい時間を味わうことができました。
 

宇部の家 食洗機設置

宇部の家の食器棚改修工事で、食洗機を設置しました。
 
機種は建主のご希望によるミーレの G7314 C SCI AutoDos
世界初の洗剤自動投入機能で、食器の汚れ度合いによって投入量を自動で調整、
その他、操作はタッチパネル式でスマホでの設定も可能な最新式です。
 
ご夫婦共に多忙な生活をサポートするまさに最強のマシンです。
 
 
 
 
 
 
内部のバスケットは日本のメーカー品と違いシンプルな構成ですが
形や種類の多い日本の食器にも対応したラックや箸ホルダーなど
機能面でも細かいところまで配慮されています。
 
 
 
 
 
 
既製品のシステムキッチンの一部を作り変えた今回の改修ですが
一見、どこを作り変えたのかわからないほど馴染んでいます。
 
既存家具の寸法やゆがみを細かくチェックし、
オリジナルの木目や色に対し、木材の種類や色合いを慎重に吟味したおかげで
改修した部分だけが目立つことなく、全体として違和感なく仕上がりました。
 
 

宇部の家 食器棚工事

宇部の家の食器棚と食洗機の改修工事を行いました。
既存の食器棚はパナソニックの既製品で、上部の吊戸棚を残し
食洗機(中段)と収納棚(下段)を解体撤去して
この部分に新たな食器棚と食洗機を組み込みます。
 
 
 
 
 
食洗機と収納棚を解体したところ
この空いたスペースの寸法に合わせて製作した家具をはめていきます。
 
 
 
 
 
 
中段部分に食器棚を取付け
 
工場製作の既製品と家具屋さんの製作する家具には
微妙な寸法の違いや既存家具の歪みなどがあるので
それをあらかじめ考慮して、ズレや隙間が出ないように
調整しながら取付けしていきます。
 
 
 
 
 
 
中段の食器棚の取付け完了。
下段は食洗機をはめ込むスペースを残して
左の配管スペースに脱着式の目隠しパネルを取付けています。
 
家具の色合いについてもできるだけ既存家具と違和感が出ないよう
何度も色見本をつくってもらい、確認を行いました。
塗装屋さんの苦労の甲斐あって、違和感なく調和してくれたので
まずは一安心です。
 
後日、ミーレの業者による食洗機の設置を行い、工事完了となります。
 
 

宇部の家 食器棚改修

 

宇部の家の改修工事がいよいよ動き出しました。
先行工事として、キッチンの食器棚を改修し
ミーレの食洗機を新たに組み込みます。
 
写真は食器棚の扉部分
右側は改修する食器棚の扉、左側は食洗機の化粧パネル
 
 
 
 
 
 
食器棚の扉の引手加工
既存の食器棚に合わせて、框を彫込んでスッキリ見せています。
 
 

古民家の実測調査

 

赤褐色の石州瓦が印象的な山間いの古民家
 
右手前に長屋門、左奥に大屋根の主屋が建ち
後方の山を背にした風格ある佇まいです。
 
家主さんのお話では築200年ほどの歴史ある旧家とのことで
今回、建築士会新南陽市部の事業として実測調査を行いました。
 
 
 
 
 
 
正面左脇から見たところ
敷地いっぱいに設けられた石垣と板塀も景観の重要な要素になっています。
 
 
 
 
 
 
南東方向に大きく開口部が設けられた主屋の座敷
 
間口いっぱいの庭とその先の山間の風景に面した座敷は
古民家ならではの風情と開放感のある心地よい空間です。
 
 
 
 
 
 
座敷部分の実測を行っているところ
二間続きの座敷全体で全長や柱間、開口寸法などをチェック。
 
その他の部屋も同様に
一部屋ごとに寸法を測り図面に起こしていきます。
 
地域の歴史としても貴重な民家なので
当時の建築様式とともに資料にまとめることで
今後の保存や活用などに生かすためのデータベースを作成します。
 
 
 

トルコ・シリア大地震と日本の現状

先日起こったトルコとシリアの国境沿いでの地震では
亡くなった方が4万人を超えるなど、大きな被害が出ています。
 
NHKのニュースでは、被害が拡大した理由として建物の耐震性とともに
この地域が「地震の空白域」であったことが報じられていました。
 
もともとプレートの境目があるこの地域で
巨大地震が発生したのは500年前以来となるそうです。
 
空白域では、長期にわたりエネルギーが蓄積されるため
巨大地震が起こる可能性が高くなることが以前から指摘されていたそうです。
 
しかし、残念ながら地震対策が十分になされていなかったことが
被害の拡大につながったと考えられます。
 
日本もトルコと同様の地震大国ですが
その日本で地震の切迫度が高まっている活断層が31ヶ所あることが
政府の地震調査研究推進本部から発表されました。
 
 
NHK WEBでもくわしく解説されています。
 
 
 
地震が少なく安全と思っている人が少なくないこの山口県でも
2つの活断層が含まれています。(菊川断層帯と周防灘断層帯)
 
活断層が引き起こす地震の発生確率は1000年単位のため
生きているうちに経験する確率は必ずしも高くはありません。
 
しかし、それが「安全である」という理由にはならないわけで
たまたま、この数百年、幸運だっただけで
地震は明日起こってもおかしくないわけです。
 
果たして自分の住む家や敷地は安全なのでしょうか?
住んでいる地域には津波や土砂崩れの危険性はないのでしょうか?
 
木造の家であれば、
以下のサイトで簡単な耐震性のチェックを行うことができます。
 
 
また、地域の危険性は、
自治体が公開しているハザードマップで確認することができます。
 
地震という自然現象をなくすことはできませんが
地震による災害は、人間の努力次第で減らすことが可能です。
 
まずは、リスクを正しく知ることからはじめて見ませんか。
 
 

カフェプロジェクト スタディ1

診療所をカフェにコンバージョンするプロジェクト
 
客席と厨房のレイアウト1案目をパースでチェック、
元の診療所の間仕切りを撤去し、室内空間の奥行きをいっぱいに使って
広がりのあるスペースを意識した構成です。
 
基本的なレイアウトとしてはまずまずですが
さらにスタディを重ねていきます。