KATACHI museum

内田鋼一さんプロデュースによるKATACHI museum
 
数々の商業施設でにぎわう敷地の中で
ここだけヨーロッパの片田舎の風景のような
静かで素朴な雰囲気をもつ外観が印象的です。
 
 
 
 
 
 
 
その外観をまとっているのがこの土壁です。
 
少し粗めに仕上げられた壁は、
時間の経過による風化が強く現れそうな質感です。
 
 
 
 
 
 
 
建物の妻側に設けられた小さな穴が入口です。
なにか、蔵に入っていくようなイメージを連想します。
 
 
 
 
 
 
穴に踏み込むと、右側に入口が現れます。
入口は木製の引戸で、扉それ自体が骨董品でできています。
 
 
 
 
 
 
 
受付を抜けて室内に入ってきたところ
ワンルームの室内全体に古い道具たちがちりばめられています。
 
これらは内田さんが世界各国を巡って集めてきたものたちで
すべて生活雑器ですが、機能を超えた芸術性があふれています。
 
次回は、これらの道具たちの魅力に迫ってみたいと思います。
 
 
 

土壁、施工完了

寝室改造工事、
4連休の中日に土壁の仕上げ塗りが完了しました。
 
仕上と言っても表情はかなり粗めで、凄みがあります。
藁を混ぜたこの壁は、土に含まれる鉄分の酸化によって
10年もすると「待庵」のような渋い表情に変わっていくそうです。
 
 
 
 
火灯口の曲面を仕上げる福田さん。
 
独特の表情や細かい細工などありながら
1時間ほどで手際よく仕上げて颯爽と現場を去っていく、
その姿、カッコよすぎです(笑)
 
 
 

和室の土壁下地塗り

寝室改造工事もいよいよ終盤、
隣室の和室との間仕切壁を左官で塗っていきます。
 
左官仕事はこの人、福田左官店の福田さんです。
いつもワンポイントですいませんが、今回も期待しております!
 
まずは、ボードのジョイントや火灯口の曲線部を
ジョイントテープで手際よく補強していきます。
 
 
 
 
 
次に下地の石膏を塗りつけていきます。
今回はプラスターボート貼りに使うGLボンドを使用。
 
 
 
 
 
火灯口、GLボンドを塗ったところ
曲線部をコテで押さえるのは、想像するだけで難しそうですが
あっという間に難なく終了。
 
 
 
 
 
石膏の上に土壁を重ねていきます。
今回使用する土は、淡路のものだそうです。
 
山口県の赤土よりやや薄めの黄土色です。
淡路の土は赤土より鉄分が多いで、経年変化が起こりやすいのだそうです。
 
 
 
 
 
建て主の希望された壁のイメージは、千利休の待庵の土壁。
いかにも荒々しく、時間の経過が生み出す凄みがあります。
今回、このイメージを目指して仕上げていきます。
 
 
 
 
 
寝室側の白い壁との境には、普通は柱や枠が入りますが、
小さい開口に枠をつけるとなんともうるさくなってしまうので
今回はあえて木の見切を省略し、土壁を丸面に仕上げて見切りとします。
 
 
 
 
 
専用の丸面コテを使って、器用に曲線部分を均していきます。
 
 
 
 
 
 
柱との取り合い部分は、曲線を反転させて納めます。
 
図面で描くのは簡単ですが、
この三次曲面をどう仕上げるのだろうと思っていたのですが・・・
 
無駄のない手さばきであっという間に均し終わりました。
さすがの職人技です。
 
 
見ての通り、これらの形はすべて人の手で作られています。
「手仕事」には機械やAIではとても表現できない塩梅があります。
 
それは、熟練の職人がもつ感覚が身体を通してしか生み出せないもので
既製品では到底たどり着けない値打ちを持っています。
 
手仕事は工業製品に比べると高くつきますが
工業製品のように新品の状態が一番きれいで、
時間とともにどんどん劣化していくのとは対照的に
時間が経つとともに渋みが加わり、愛着が増していくものです。
 
それを考えれば、手仕事は必ずしも、割高ではなく
むしろ、愛着の増加する分だけ割安になるとも言えるのではないでしょうか?
 
 
 
 
 
丸面を押さえていたコテ、福田さんの手作りだそうです。
 
 
 
 
 
コテには塩ビのパイプが貼り付けてありましたが
この塩ビの厚み分が、仕上の厚みになるそうです。
使用する道具も含め、よく計算されています。
 
 
 
 
土を塗りつけたところ。
火灯口の曲線部がきれいに丸面で弧を描いています。
 
 
 
 
 
寝室側から見たところ。
この後、数日乾かして、最後の仕上塗りを行います。