河東の家、玄関ドア

河東の家で玄関ドアが新調されました。
密集するまちなか、家と家の隙間の奥にその入口はあります。
 
 
 
 
昨年リノベーションした右側の家に新調されたのは
 
ドアのまわりは新旧の波板によるパッチワーク、
このドアが新調されたことで、
ただのあばら屋がアーティステックな表情を現してきました。
 
 
 
 
ラワンベニヤという安い材料に対し、
レバーハンドルにはシンプルながら本物の質感を求めています。
 
日々、生活のオンとオフの接点となるこの部分には、
さりげなくもこだわりを貫いています。
 
 
 
 
玄関ドアを開けたところ。
機能的な要望によるポストやドアガードも汎用品の中から
できるだけ邪魔にならないデザインのもので合わせています。
 
 
決してビンテージにまでのめり込まず
しかし、茶道のようなバランス感覚をもって
同時代の汎用品を組み合わせて品格を高める。
 
建主との共同作業によって生み出されたこのドア、
取るに足らないはずのものに命が吹き込まれました。
 
 

ラワンベニヤ選定

昨年改修工事をした川東の家
古いままだった玄関ドアを新調するため
資材倉庫へドアの仕上材の選定にやってきました。
 
 
100枚近くのベニヤ材を1枚1枚と吟味、
その中から10枚程度を候補としてセレクト。
 
 
 
 
 
たかがベニヤ、
されど中には繊細な木目の味のある板があるんです。
 
ラワンベニヤは基本的に下地材、
仕上に用いるためにつくられたものではありませんが
手間をかけて探してみると、
下地材にはもったいないような掘り出し物が出てきます。
 
安物で一般的には見向きもされないような素材ですが
素のままの表情は衒いがなく、欲のない雰囲気にはむしろ上品さが感じられます。
 
 
 
 
 
候補に残ったものを並べて、改めて吟味。
どれも、甲乙つけがたい良い表情です。
 
ちなみに、今回はちょっと木目に癖がありつつも、
品のある表情のものを基準に選んでいます。
 
 
 
 
最終的に選ばれたのがこの2枚。
 
木目は割とマイルドですが、おおらかな表情と温かみのある色合いに
他にはない個性が現れています。
 
古びたアパートの雰囲気がそのまま残る外壁に対し
静かで凛とした表情を見せてくれそうです。
 
 

河東の家、工事終盤

 

ストリップ階段、ほぼ形が整いました。

模型の段階では踊り場はボックス状の閉鎖形でしたが、
最終的にすべてストリップにして軽快さを強調しました。
 
手前と奥に分かれていた2つの空間は、階段によりゆるやかに分かれつつ、
小さいながらもそれぞれに広がりと気配の感じ取れる空間になりました。
 
 
 
 
こちらは塗装下地のパテ処理
 
耐震補強の関係で下地が構造用合板になったため
表面の凹凸を目立たせないように徹底的にパテ処理されています。
 
塗料を塗ると隠れてしまう地道な作業ですが、
その手間のかかり様といい、頭の下がる塗装屋さんの仕事ぶりです。

 

2017.1.19 設計事務所 TIME 

 

引き算のスタディ

密集地域の中古住宅でのリノベーション計画とりとめのない間取り、雑然とした仕上げを一旦整理し、建物中央の階段をクローズアップする計画です。耐震補強が必要なため、柱やブレースに囲まれていますが可能な限り余材を引き算しながら、 … “引き算のスタディ” の続きを読む




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密集地域の中古住宅でのリノベーション計画

とりとめのない間取り、雑然とした仕上げを一旦整理し、
建物中央の階段をクローズアップする計画です。

耐震補強が必要なため、柱やブレースに囲まれていますが
可能な限り余材を引き算しながら、風景をつくるべくスタディ中。