尾道のLOG、
もともとアパートの共用廊下だった場所です。
まったく「インスタ映え」しそうにない何気なさですが
見栄えを競う表現とは対極の、奥深い質感が随所に潜んでいました。
![](http://www.time-archi.com/wp/wp-content/uploads/2018/12/DSC053291-460x345.jpg)
壁の出隅部分
粗めのモルタルによるザラザラとした質感、
さらに角は丸く削られていて、陰影がとてもやわらかくなっています。
![](http://www.time-archi.com/wp/wp-content/uploads/2018/12/DSC053292-460x345.jpg)
階段の角や壁との取り合い部分
すべての角という角に丸みが与えられ、面の境界が曖昧になっています。
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樋の落とし口
排水溝、床端部の立ち上がり部分、そして階段
こちらも角の処理は徹底されています。
この淡い質感は、
あたかもジョルジュ・スーラの点描のような静謐感を感じさせます。
![](http://www.time-archi.com/wp/wp-content/uploads/2018/12/DSC053294-460x345.jpg)
スチールの手すり
手すり自体も丸パイプで角もゆるやかに曲げてあります。
手すり子のベースになっているフラットバーの角も
丸く削られているのがわかりますか?
こんなところにまで一貫した考えが現れていて
設計者による並々ならぬ思いが伝わってきます。
パイプの塗料もつや消しで
光は反射ではなく、にじむように物質を映し出します。
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カフェの内部
カウンターは木下地に和紙を貼り、漆で仕上げられているそうです。
その手触りはやわらかく、鉄とは異なる温もりが手に伝わってきます。
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天井の左官仕上げ
職人の指導のもと、スタッフ達で仕上げたそうで
その苦労と込めた思いが濃縮されています。
![](http://www.time-archi.com/wp/wp-content/uploads/2018/12/DSC053297-460x345.jpg)
土間は左官の掻き落とし
床はそのままベンチにつながり、一体の仕上げになっています。
ここにはシャープな造形や派手な表現は存在しません。
しかし、
慎重に吟味された質感がコンクリートの建物を包み込んで
静かで奥行きのある空間を成立させています。
体験することでしか味わえないこのクオリティ、
時間の流れ方さえ覚醒させてしまうような力を感じます。
2018.12.21 設計事務所 TIME