ヘリテージマネージャー養成講座2

 
 
新旧の素材を組み合わせた欄間障子
萩市の歴史的景観地区に建つ久保田家住宅のものです。
 
保存修理に当たっては、できるだけ元の素材を生かしながら
朽ちた部分だけを新しい素材に取り替えています。
 
この場合、新しい材を古い材に合わせて着色するパターンと
古い材の生地仕上げを踏襲し、新しい材も生地のまま使うパターンがあります。
 
こちらは後者の例で、
新しい材は、例え当面は色が違ったとしても、
見た目より仕上げ方を受け継ぐことを大切にしています。
 
 
 
 
 
 
こちらは毛利家の菩提寺である大照院
重要文化財の保存修理が完了したばかりのものを見学、
葺き替えられた瓦屋根が優美ですばらしい。
 
 
 
 
一方、外部に露出する骨組みは古い材をそのまま使っています。
たとえ風化したとはいえ、現役で使える材は可能な限り残し、
変に補修したり、していません。
 
朽ちて取り替えられた雨戸の板との新旧のコンポジションが
歴史と時間の経過を感じさせてくれます。
 
 
 
 
こちらは飾り窓の枠
枠の一部だけ、新しい材に取り替えています。
それも、悪い箇所のみの最小限にとどめ、
残せるものは可能なかぎり元の材を残しています。
 
古い建物やその部材には、そこにしかない歴史と時間の経過が存在します。
それを真摯に受け止めて大切にすることが、実は新たな価値につながっていく、
そのことを実例を通して学ぶことのできた貴重な機会となりました。