版築壁と薪ストーブ、そしてモルタル

臼杵の家、中庭の版築壁は型枠が解体されて
仕上がった壁が現れました。
 
まるで地層がそのまま現れたような壁は
土のリアルな素材感を持ちながら、抽象的なアートのようにも見えます。
 
とても存在感があるのに、不思議と静けさが漂う壁を前にすると
何か、心が穏やかになる感じがします。
 
 
 
 
 
室内には薪ストーブが据えられ
奥に見えるヴィンテージのカウンターとともに
この空間の濃度が一気に高まってきました。
 
 
 
 
 
 
水回りの空間は洗面台も含めてモルタル仕上げ
やや大きさを絞った窓からの光を受けて
陰影の深い表情がなかなか渋いです。
 
 
 
 
 
 
リビングのミニキッチンもモルタル仕上げ
職人さんが丁寧に仕上げてくれています。
 
こちらも軒が深く、抑制された光の中で
モルタルの質感が引き立っています。
 
 

室積の家、1年検査

 
昨年完成した室積の家にて1年検査を行いました。
 
モルタルと板壁を幾何学的に構成した外観は
1年分の経過で少しずつ表情が変化してきました。
 
 
 
 
 
 
モルタルの壁は雨風にさらされ
フラットな大きな壁に濃淡の模様が定着しつつあります。
 
 
 
 
 
 
板壁のほうも庇のある部分とない部分で色の変化が出始めています。
 
建物は丁寧に扱えば100年以上使うことができます。
当然、その間に色合いや質感は変化していきます。
 
人間が年をとるとともに深みを増していくように
建物も自然の営みに従ってありのままに表情を変え
深みを増していけることを願っています。
 
 
 
 
 
 
2階のキッチン
スチールフレームのキッチンカウンターと構造用合板の棚だけの
むき出しのローコストキッチンですが
暮らす人の個性が加わることで暮らしのリアリティが豊かに現れています。
 
今回、暮らしの中での気づきや使い勝手をお聞きして
木製の玄関引戸への戸当たりの取付や庇の雨だれ処理など
いくつかの調整を行うことになりました。
 
建主のお話をお聞きしなら
1年の経過の中で暮らす人と家が少しずつ溶け合って
暮らしのかたちが定着し始めていることを実感できました。