櫛ヶ浜の家、骨組み補強

柱の根継ぎ工事4日目、
柱の背割り部分に埋め木をして、仕上げのかんな掛け。
これら、すべてが現場での手仕事です。
 
 
 
 
金輪継ぎ、ピッタリはまりました。
 
 
 
 
込栓を打ち込んで、しっかり固定。
 
 
 
 
1本につながった新旧の部材。
このあと、さらにかんな掛けして細かい段差をなくしていきます。
 
 
 
 
こちらはもう一つの難所、
建屋中央の傷んだ掘立柱を新しいものに取り替えて
もともとの足固め材を四方から差し直します。
 
 
 
 
力いっぱい掛矢で叩いても1回で数ミリしか動きません。
たいへんですが、その分しっかりとした接合部ができあがります。
 
 
 
 
どうしても入らないところを、少しずつノミで削って微調整。
 
 
 
 
 
ようやく3方の部材がはまりました。
このあと、X、Y方向のねじれをさらに修正するようです。
 
 
 
 
こちらは外周部の柱。
 
外壁解体時に足元の傷みが見つかったため、
足元部分を切断し、根継ぎする必要が出てきました。
この部分は新たに耐力壁にするため、やむを得ない判断です。
 
古い建物の解体修理では、事前調査では確認できない不確定要素があり
追加のコスト管理も含め、施工同様にしばらく難所が続きます。
 
 

櫛ヶ浜の家、骨組み補強工事始まる

隣地側外壁を解体したところ
 
耐震補強を行うため土壁を撤去したところ、
隠れていた部分に新たな傷みが見つかりました。
(写真の柱1、2)
 
 
 
 
柱1の足元は腐っていて、ほとんど宙に浮いている状態。
 
 
 
 
柱の上部まで傷みがはげしく、
おそらく雨漏りなどによるものと思われます。
 
 
 
 
 
柱上部の梁も一部傷みが見られます。
 
 
 
 
 
柱2の足元の傷み具合。
こちらは外壁の鉄板を剥がした際に見つかったもの。
 
 
 
 
 
これは道路側の土間部分にある足固め。
柱との付け根が傷んでいます。
 
 
新たに見つかった部分も含め、構造強度に影響する部分は
補強方法を検討の上、手直しをする方針です。
 
 
 
 
母屋の柱の根継ぎが始まりました。
 
足元がシロアリに食われて潰れていた柱の下側を切断し、
新たな柱に組み替えていきます。
 
写真は金輪継ぎと呼ばれる強固な継手です。
 
 
 
 
 
しっかりはまった!・・・と思ったら
まだまだ調整が必要なんだそうで、この柱の加工だけでもう3日目だそう。
 
 
 
 
 
こちらは柱の足元部分。
既存の足固めとの接合部の具合を調整しています。
 
 
 
 
その柱を一旦外したところ。
伝統的で複雑な接合部の形状です。
 
 
 
 
既存の柱、上部の接合部。
立ったままの柱の状態で手刻みの加工は想像以上に手間がかかりそうです。
 
 
 
 
 
こちらは、傷んだ足固め材のかわりに組み替えられるもの。
こちらも既存の部材に合わせて現場で加工中。
 
 
 
 
外部では1階の屋根の葺き替え(下地まで)が終わり、
2階屋根解体用の足場が組まれました。
来週は2階屋根の葺き替えが行われる予定です。
 
 

櫛ヶ浜の家、化粧軒裏工事

道路側の屋根工事
 
道路に面したこの部分は準防火地域の規制に合わせる必要がありますが
もともとの化粧軒裏の意匠を生かすため、あえて一旦解体。
見た目はほとんど変えずに準耐火構造の仕様で作り直します。
 
 
 
化粧野地板に使われているのは30ミリの厚板。
実(さね)部分が赤く見えるのは、既存に合わせたベンガラ塗り。
 
 
 
この部分の骨組みは母屋側に少し傾いていたため
補強のための横つなぎ材を加えます。
写真は既存の桁材にほぞ穴を開けているところ。
 
 
 
 
横つなぎ材を既存の骨組みの長さに合わせるため
仮組みしては削ることを何度も繰り返しながら少しずつ寸法調整、
新築の何倍もの手間がかかっています。
 
 
 
 
作り直された化粧軒裏(室内天井部分)
新たにベンガラで塗られた天井は、既存の骨組みに比べて赤色が鮮やかです。
 
古い材に合わせて色を調整することもできるのですが
あえて歴史のリアリティを生かすことを大切にし、
時間の経過によって生まれる自然な調和に期待を込めています。
 
 
 
 

屋根解体工事

連日、暑い日が続きていますが
現場では既存屋根の瓦の撤去作業が行われました。
炎天下の中、1枚1枚の手作業、本当にご苦労様です。
 
 
 
 
1階道路側の屋根下地、見上げ
 
既存垂木のサイズは60⨉50前後(現在の規格とは違います)
化粧軒裏の意匠を維持したまま準耐火構造にするため
垂木と野地板は一旦解体し、納まりや部材寸法が改められます。
 
 
 
 
西面2階既存屋根
両端が中央に比べて下がっているのがわかります。
こちらも隅木を入れ直して、矯正していきます。
 
 
 
 
入母屋、隅棟部分の状態
 
瓦を固定していた漆喰は剥がれ落ちており、かなりの瀕死の状態。
風雪に耐えてきた屋根、ようやくお役ご免となります。
 
1箇所1箇所に現代とは規格や納まりの違いがあり、かつ劣化の状況も様々です。
意匠の継承、耐久性、施工性、コストなど多くの変数が絡み合う中で
最適解を求めて大工さんと相談しながら施工方針を定めていきます。
 
 

櫛ヶ浜の家、屋根工事

既存屋根の解体工事が始まりました。
梅雨の晴れ間をぬって、下屋の屋根 → 2階屋根と順を追って進めます。
 
 
 
 
 
棟部分の家紋入りの瓦
 
この瓦は、お施主さんの思い入れも深く
既存屋根に残る記憶の一部として新しい部材で復元します。
 
 
 
 
2階外壁下の水切り瓦
 
3段ののし瓦は、上段と下段の間は青海波の洒落た意匠が施されています。
正面だけですが、こちらも新しい瓦で復元する予定です。
 
 
 
 
 
 
既存の瓦、軒先の万十の形状
左側は丸いふくらみがありますが右二つは平らな形になっています。
 
 
 
 
新調する瓦、軒先のイメージです。
屋根屋さんによると、石州瓦では瓦の前垂れ部分に模様が入るそうです。
一瞬、カニが描かれているのかと思いましたが、正式には唐草模様なんだそうです。
 
限られた予算の中では、あらゆる場面で取捨選択の判断に迫られますが
少しでも思いや記憶、そして建築としての有り様を刻めるよう配慮していきます。
 
 
 

櫛ヶ浜の家、家揚げ工事2

基礎の根切(土の掘削)工事が進んでいます。
 
昨日は耐震補強設計をお願いしたグリーンデザインオフィスの岩田さんに
現場をチェックしていただきました。
 
今回の耐震補強設計では表層地盤の状態を調査した上で
地盤の固有周期に沿った上部構造の補強設計を行っています。
地震時には、地盤の状態によって大幅に建物の揺れが増幅される可能性があるため
そのリスクをチェックした上での設計が為されています。
 
4/9に放送されたNHKスペシャル「大地震 あなたの家はどうなる? 
〜”見えてきた地盤リスク”〜」でも詳しく放送されています。
これについても改めてブログで紹介する予定です。
 
 
 
 
 
さて、工事の方はというと
家が建った状態での基礎工事なので、掘削も人力なんです。
手間も時間も(そしてコスト)もかかる大仕事です。
 
 
 
 
掘った土はベルトコンベヤで外に待機するダンプに運ばれていきます。
 
 
 
 
建物外周部の状況。
布基礎のような役目をしていた長石が地面から切り離されています。
 
 
 
 
中央の柱の基礎もジャッキ4つで持ち上げています。
 
 
 
 
家にくっついていた造付収納も一緒に浮いています。
 
 
 
 
土台と長石の下が空いていて、建物が宙に浮いた状態です。
このあとさらに掘削を進め、家全体をジャッキアップして
鉄筋工事に移っていく予定です。
 
 
 
 
 

櫛ヶ浜の家、家揚げ工事1

土台を残し、その他の床下地が取り除かれました。
 
 
 
 
階段左側の梁に向かって2階の床が沈み込んでいるのがわかります。
屋根の重みやシロアリの食害により、骨組に歪みは出ています。
 
 
 
 
 
 
シロアリによる食害の痕跡が残る敷居
 
 
 
 
こちらの柱の足元も食われています。
 
これら、傷んだ部材は新しい材に取替るか、部分的に継ぎ直され
その上で、骨組全体の歪みを矯正していきます。
 
 
 

櫛ヶ浜の家、家揚げ準備

櫛ヶ浜の家で既存家屋の家揚げの準備が始まりました。
コンクリートのベタ基礎を打設するため、一旦床板を取り外します。
 
既存の床下地は、土台も根太もみんな丸太材です。
工業化や規格化が進む前の家の作りは実に臨機応変、
100年の時代の変化を感じます。
 
 

櫛ケ浜の家、地鎮祭

櫛ケ浜の家の工事に先立ち、地鎮祭が行われました。
 
住宅の工事では、敷地の土を神社でお祓いしてもらう簡易な形式が多いのですが
今回は建設地にて正式な儀式が執り行われました。
 
正式な地鎮祭は久しぶりでしたが
神主さんによって祝詞があげられると、やはり厳粛な気持ちになります。
いよいよ工事が始まるのだと、改めて、身が引き締まる思いです。