自然以上

修学院離宮、浴龍池
 
標高137mの山あいに位置する4500坪あまりの広大な池は
比叡山からの谷川をせき止めて造られた人工池なんだそうです。
 
その池の奥、山の中腹に上の茶屋、隣雲亭がかすかに垣間見えます。
 
 
 
 
 
隣雲亭から見た浴龍池と京都北山の山並み
 
修学院の核心はこの大パノラマの風景にあります。
自然を大胆に造成しながらも、決して人工的な嫌味が感じられません。
 
大胆なランドアートでありながら、見事に自然と溶け合って
自然以上の美しい風景を生み出しています。
 
 
 

週末連載 台湾32

 

雙連朝市のそばにある豆乳の店、世紀豆漿大王
 
以前、北京の屋台で食べた豆乳スープがあまりに美味かったので台北でも再来、
ということでやってきたのがこの店。
 
 
 
揚げパンが入った熱々の豆乳スープにさらに揚げパンを追加。
追加の揚げパンは、ちぎってスープにつけながら食べると、これがまたうまい。
 
素朴な朝ごはんですが
昔ながらの朝食文化が味わえるこの店、台湾のリアルを実感できます。
 
近隣には日本人観光客向けのホテルもあり、都市化がどんどん進んでいますが
この店が「変わらない」存在であり続けているという事実はすごいことです。
 
そういえば、伊東豊雄さんが築地の豊洲移転について、
混沌としてリアルな場所がどんどん消えていくのはよくない、とラジオで話していました。
 
台湾には、混沌やリアルを許す文化力(民力)が確かに存在し、
その力は時として経済力に勝っています。
 
この懐の深さのおかげで、この朝も幸せな時間をごちそうさま!
 
 
 
 

緻密な仕事の積重ね

修学院離宮、竹垣

6/16の竹垣でも触れましたが、ありふれた素材を精緻に仕上げています。
竹を並べた縦のリズムとそれを留める釘の横のリズムが
別々のレイヤを重ね合わせたような重層する表情を醸し出しています。
 
 
 
 
 
その竹垣の笠木、端部のディテール
 
山形の断面に被せた板金が数ミリ出ており、わずかに水を切ろうとしています。
ディテールというにふさわしい、緻密な仕上がりです。
 
 
 
 
 
竹垣足元の石垣
 
亀甲に象られた石が隙間なく組み合わされて
素材の風化によって、その目地すらも曖昧になっています。
 
 
これらの仕事に共通するのは、
飾り立てることではなく、緻密な仕事の積み重ねによる存在感。
 
一体どれほどの手間がかかっているのだろうと
想わずにおれない、仕事ばかりです。
 
 

不明門

その名のとおり、通ることができない門
 
それなら意味がないじゃない?と片付けてしまっては面白くない。
「開かない」、「通れない」をわざわざ存在させることに
作者が生きた時代の思想や意図が込められているのでしょう。
 
 
 
 
伏見城から移築された門は派手な意匠で強烈な存在感があります。
 
使えないものは不要か?
浅薄な常識に囚われた現代人に対し、
その問いを突きつけているようにも思えるのです。
 
 

光のスタディ

アトリエ空間のスタディ
 
建築空間にとって外から入ってくる自然の光はとても重要な要素です。
特に今回は絵画のアトリエということで
明るさや光の回り方など、より高いクオリティが求められます。
 
北面採光の理想的なかたちを求めて
開口の配置、光の入り方を模型でチェックしていきます。
 

流響院、佇まい

流響院、正面入口
 
七代目小川治兵衛親子が手がけた庭園が有名ですが
道路に面した入口部分も凛とした佇まいです。
 
 
 
 
 
竹垣の竹は独特の色合いをもつ、ややフォーマルな印象
 
 
 
 
 
道路に接する土間もデザインに富んでいます。
 
 
 
 
 
大きさや長さの違う矩形の石を組み合わせたコンポジション
モダンなパターンの構成は一歩間違うと下品になるところですが
精緻な仕事で応える/ことで品の良さを保っています。
 
 

二つの天窓

玄関ホールに天窓から光が差し込んでいます。
 
冬場には明るく暖かい光を取り入れ、
夏場にはロールスクリーンで日差しを遮り、逆に室内の熱を逃がします。
 
 
 
 
 
階段を上ったところに設けたもうひとつの天窓
 
玄関と同じように自然光を積極的に取り入れています。
それは、日々の暮らしの中で自然の微妙な変化を感じることでもあるのです。
 

素材、手間、趣き

南禅寺界隈でみつけた竹垣
 
節の位置が、意図的に一本一本ずらしてあるのがわかります。
(その証拠に、釘の高さはきれいにそろっています)
 
実際にやってみると分かりますが、
位置をそろえるより、ずらすほうが格段に難易度が高いのです。
 
節の位置をずらして堅苦しさをぬぐい、自然の風合いを生かし、
隣り合う竹どうしは、節の幅の変化に合わせて削り合わされています。
 
どこでも手に入る素材にそこまで手間をかけるのかと思うほどですが
その手間によってしか生まれない上質な繊細さと趣きが現れています。
 
 

虹ケ浜の家、内装工事

虹ケ浜の家では内装工事が進んでいます。
 
階段の床板は元の家で使われていた肥松。
できるだけ良い材料は加工し直して再利用し、
住み手にとっての時間のつながりに生かしていきます。
 
 
 
 
 

玄関ホールの天窓
 
天窓から天井までの間をラッパ状に広げて
暗くなりがちな北側の玄関をより明るい雰囲気に。
 
この天窓は雨センサー付きの開閉式、
夏の暑い間は、留守中の換気窓として熱気を外に逃がします。