再び、4月に訪れた明治神宮の話に戻ります。
原宿駅前の一の鳥居からつづく南参道
およそ500mの長い長い参道を歩いて行きますが
この時点でその先の鳥居や本殿は全く見えません。
原宿のまちの喧騒は、この距離を歩く時間とともに
神聖な気持ちへと整えられていきます。
この長い参道は神様に対面するための
心の準備をするための空間と言えるのかもしれません。
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長い参道の先にようやく見えてきた二の鳥居
この鳥居は日本最大のものでとても象徴的な存在なのに
その存在を大げさに主張するような位置に置かれていません。
わざわざ、南参道からは見えないように建てられているのです。
![](http://www.time-archi.com/wp/wp-content/uploads/2022/07/img_8261-345x460.jpg)
鳥居の高さ12m、幅17.1m、柱の直径は1.2m
(明治神宮公式サイトより)
本当に堂々とした鳥居です。
でも、その先にはまた森のみ、本殿は見えません。
あえて見えなくすることによって、
奥へ奥へと人の心をいざなっていくようです。
ここにはただただ鳥居だけが存在するのみで
本殿へ向かっていることをさりげなく暗示しています。
堂々としているのに誇張するでもなく、
その先の本殿への入口であることだけをさりげなく示す
最高にデザインされたサインのように私には感じられます。
![](http://www.time-archi.com/wp/wp-content/uploads/2022/07/img_8266-460x345.jpg)
朝日を受けて、鳥居のシルエットがさらに大きな影となって
参道に映り込みます。
見渡すかぎりあたりは森と空ばかり
そこに刻まれた鳥居の影
人工物なのに実体がない虚ろな存在ながら
明快なシルエットは自然との対比を成していて
もはやランドアートのような域に達しています。
![](http://www.time-archi.com/wp/wp-content/uploads/2022/07/img_8268-460x345.jpg)
鳥居を抜けるとその先は突き当たり、
そこで右に曲がるといよいよ本殿前の鳥居が見ててきます。
距離や時間、そして視線の変化や気配などを巧みに使って
実体以上の奥行き感が生み出されているのです。
奥へ奥へと誘うことで生まれる神という存在の崇高さが
最高の「奥ゆかしい」デザインで表現されています。