今を生き続ける旧神奈川県立近代美術館

10月初め、設計の師匠である北山孝二郎氏による草津温泉の再整備プロジェクトの視察に行ってきました。そして視察前日には鎌倉を訪れました。

写真は鶴岡八幡宮の境内にある鎌倉文華館鶴岡ミュージアム。宙に浮いたような立体が平家池に張り出すダイナミックな外観です。

設計者は、近代建築の巨匠 ル・コルビュジエに師事し、その後日本を代表する建築家として多くの公共建築を残した坂倉準三。

長年、神奈川県立近代美術館として親しまれた建物は、借地契約の修了により鶴岡八幡宮に返還されましたが、建物は保存活動を経て、国の重要文化財となり、現在は鶴岡八幡宮の資料館となっています。

 

 

 

これは、2009年の夏に訪れた時の写真

この建築の最も有名なシーンである池から反射する光が揺らぐ軒下空間。日本的な中間領域と西洋(近代)の造形が融合する素晴らしい建築で、幾度も足を運びました。

 

 

 

そんな貴重な建築の中で、個人的になぜか気に入っていたのが2階の喫茶店。

アルネ・ヤコブセンの椅子以外は取り立てて目を引くものはないのですが、屋外の平家池に開いたバルコニーが開放的で、真夏でもクーラーを入れずに、池からの涼やかな風が通り抜ける空間は、力みのない気持ちよさがありました。

自分にとっての別荘のような場所でしたが、敷地返還時にこの喫茶店がなくなってしまったのが惜しまれます。

 

 

 

敷地返還時の改修工事できれいになった建物の脇では、芝生をメインテナンスする人の姿がありました。

建築はその時代時代の事情によって使われ方は変わっていきますが、それでも大切に使われ続けている様子を目にして、改めてこの建築の力を感じました。