現代建築に勝る深みあり

重要文化財、旧毛利家本邸画像堂の保存修理工事
ヘリテージマネージャーを対象にした工事見学会に参加しました。
 
大正7年、自然の森を切り開いて造営された画像堂、
長年にわたり木々の落ち葉が屋根の排水を妨げ
雨漏りで傷んだ建物をこのたび修理することになったそうです。
 
 
 
 
 
建物は背の高い内陣(写真左端)のまわりに庇状に外陣が取り囲む形状。
外陣のしっくい壁部分に耐震補強を施し、仕上げ直しているそうです。
 
 
 
 
 
内陣を構成する骨組みは漆状の塗りを施し、黒光りする独特の表情、
床も黒を基調にした研ぎ出し仕上げで
伝統的な空間様式の中にも大正時代の近代的なセンスが見られます。
 
 
 
 
 
吹抜けた内陣上部の欄間には四周全体にガラス障子がはめ込まれ、
ハイサイドライトのように光が空間に降り注ぐ仕組みです。
 
この辺りのデザインにも、和の空間性とは異なる指向性があり
西洋建築にある垂直方向の特徴が見て取れます。
 
 
 
 
 
 
外陣部分の傷んだ屋根は吹き替え工事中
瓦の下地は土ではなく杉皮で、構造的な軽量化を考えていたのかどうか・・・
いずれにしても、湿潤な日本の気候に適した自然素材が生かされています。
 
 
 
 
 
 
内陣の宝形屋根
甍の生み出す優美な表現は和の伝統が生かされています。
それにしても、デジタルな機械がない時代に
三次元の造形をたくみに生み出すアナログの職人技はやはりすごい。
 
 
 
 
 
 
外陣、屋根垂木の間に通気抜きが設けてあります。
このあたりは、設計者による科学的な思考を感じます。
 
真壁構造や構造上の組み物、格子などのパーツなど
基本的な様式は和の伝統を引き継ぎながらも
明治以降に入ってきた西洋文化をアレンジしながら
伝統と現代性(時代性)との間での試行錯誤した姿が垣間見られます。
 
伝統は単なる過去の遺物ではなく、現代の文化にも確実につながっていることを
大正時代の設計者は今以上に意識し、時代の本質をつかもうとしたように思えます。
それは、単に新しいだけで無造作にデザインされがちな現代建築に勝る深みをもっています。
 
 

ステイホームを考える

 
東京などに緊急事態宣言が出されて一ヶ月あまり。
ステイホームを続けた中でわかったことの一つが「居心地」の大切さです。
 
長時間同じ場所に閉じこもればどうしても窮屈に感じます。
その気分を少しでも和らげてくれるのが居心地ではないでしょうか。
実は、家の「見た目」や「広さ」以上に大切なことかもしれません。
 
城ケ丘の家では、
家は小さく、でもその分、庭を広く取っています。
庭の一部はウッドデッキで家とのつながりをつくり
庭に大きく開くことで広さ以上の「広がり」を大切にしています。
 
暮らしは家の中だけで成り立っているわけではありません。
家の中でも外でも過ごす場所があれば、気分の切り替えも可能です。
 
庭やその先の環境も含めたデザインが、いかにくらしにとって大切か、
期せずして、そのことを改めて実感させられます。
 
 
 

2020.5.13 設計事務所 TIME

 

ただいま勉強中

 

コロナの影響で遅れていた新学期がもうすぐスタート、
感染拡大を警戒して学校もオンラインです。

マイクロソフトTeamsというソフトを使うということで
ひとまず使い方を勉強中。

少しでも学生たちの学ぶ機会が失われないように
我々大人にとっても、できることはとにかくチャレンジです。

2020.5.6 設計事務所 TIME

心を寄せ合う

南フランス、アルルの街角。
2007年に訪れた旅の中で特に好きな写真の一つです。
 
路地に出されたテーブルを囲んで会話する大人たちと子供ひとり。
小さなテーブルがコミュニティの受け皿となり、人と人を結びつけています。
 
今はソーシャルディスタンシングでこんなことができませんが
彼らと同じように「心を寄せ合う」という行為は十分に可能です。
 
 
 
 

人間らしいくらしとは? くらしの豊さとは?

あけましておめでとうございます。

昨年は3年越しのプロジェクトだった秋穂東の家のリノベーションがついに完成、
ITやAIで世の中がどんどんスピーディーに動く時代に
あえて時間をかけてじっくりと家づくりをする貴重な機会をいただきました。
 
これから本格的なAI時代の到来とともに、
私たちの暮らしはさらに便利になり
より快適さを求めて変化し続けていくでしょう。
 
その一方で、人間らしいくらしやくらしの豊さなど
AIではカバーできない領域が必ず影となって現れることでしょう。
 
人間らしいくらしとは、くらしの豊さとは
本来、どんなものなのでしょうか?
 
その本質的な問いを常に意識しながら、
これからの設計に取り組んでいきたいと思います
 
本年もどうぞよろしくお願いします。
 
 

2019.1.5 設計事務所 TIME

カピンコーヒーにて

小春日和の中、
お客さんとともにカピンコーヒーにお邪魔しました。
 
 
 
 
朝日が差し込むリビング
完成当時から少しずつ設えられた家具とともに共鳴する空間です。
 
 
 
 
天窓からの光に満ちた吹き抜け
完成当時と比べ、少しまろやかになったように感じられます。
 
 
 
 
改修で撤去された天井裏に突き出していた梁の断片たち
空間のアクセントとして生かされたオブジェも役割を果たしています。
 
 
 
 
番付された小屋束
無作為に書かれただけの小さな部材ですが
この家の歴史を伝える大切な存在として息づいています。
 
 
 
 
シルエットが美しいワンシーン
 
改修から6年、
オーナーのセンスによって発酵が進み
ゆるやかに、しかし着実に熟成を深めています。
 
 
 
 
オリジナルのコーヒーとともに
豊かな時間を過ごさせていただきました。
 
この日のためにお時間をいただきありがとうございました。
 
 

カピンコーヒー、MITTAN展

カピンコーヒーで週末に開かれた展覧会にお邪魔しました。
 
 
 
 
 
 
 
民族衣装を提案するWITTANによる布の質感とカピンの空間が共鳴。
 
 
 
 
 
キッチンの小屋組に残された番付(骨組みの部材番号)
 
展覧会とは関係ないんですが、
改修されたこの空間に唯一残した古い家の記憶。
私にとって、この家の中で最もお気に入りの風景です。
 
 

リアルな質感

あけましておめでとうございます。

昨年は櫛ヶ浜にある築95年の町家を再生するプロジェクトにチャレンジ、
耐震性と外部の改修を行いながら、空間に宿る歴史を受け継ぐ改修でした。
 
それは、改修によって空間のもつ意味まで漂白するのではなく、
そこにある時間や記憶の蓄積を未来につないでいくというものでした。
 
最近は、新築だけでなく、リフォームやリノベーションなど
古いもののもつ価値を引き出しつつ、現代と融合していく仕事が増えています。
 
そこには、
時間の経過による味わいや手仕事のもつ表情、生活者の記憶や愛着など
その空間だけに宿るリアルな質感が存在します。
 
我々の生活にはAIやロボット技術が浸透し始めていますが
だからこそ生身の人間が持つ感情や感性を大切にしながら、
リアルな質感にこだわった設計の歩みを進めていまいりたいと思います。
 
本年もどうぞよろしくお願いします。
 

2018.1.5 設計事務所 TIME

徳山高専、建築デザイン概論

 
徳山高専での建築デザイン概論、
学生たちにデザインで考慮すべきポイントを挙げてもらいました。
 
「立地条件」や「日当たり」といった敷地を取り巻く前提条件や
「住みやすさ」や「居ごこち」などの居住性、
「耐久性」や「耐震性」などの安全性や性能など様々なポイントが出てきました。
 
我々実務者にとって常に悩みの種である「費用」も挙げられています。
また、「甘さ」や「マイルド」など、建築の持つイメージについて言及するものもありました。
 
建築は限られた予算と与えられた敷地条件の中で
いかに安全で快適であり、そしてある共感の生まれるものを創造するという
特別な仕事であることを学びました。
 
 

デザインとは?

徳山高専で建築デザイン概論の授業を担当することになりました。
最初のテーマは「建築デザインの基礎知識」ということで、
まずは本質を探るべく、デザインとは一体なにものか、について考えます。
学生たちの反応はいかに?