2025年を振り返る

2025年もあと2日、当事務所も今日で仕事を納めます。

今年は、3つの工事と2件の設計が同時進行し、息つく暇もないないような非常に多忙な一年となりました。

そんな中、児玉神社の社務所建替え工事が12月に無事完了しました。神社の本殿に対し、地味な脇役に徹しながらも、境内に静かな緊張感が生まれるような質実とした外観で参道を引き締めるデザインにまとめています。

その他、リノベーションと新築住宅の工事も大詰めで、2月中には完成する見込みです。

 

 

設計中の高水の住宅は現在見積調整中で春から工事に取り掛かる予定です。

大屋根に包まれた30坪の平屋は木造の骨組みが現しで、ワイドな開口が庭に向かって開いていて、のびのびと家族が暮らせる空間です。

もう1件は、茶室のある60坪ほどのやや大きめの住宅で、現在基本設計を進めているところです。

1件1件の住宅にはそれぞれに個性があり、その個性が住む人の暮らしを豊かにし、住み続けるとともに愛着が育まれる、そんな住宅をめざして、建物が完成する最後の最後までデザインを練りこんでいく所存です。

来年もどうぞよろしくお願いします。

 

2025.12.30 設計事務所 TIME

桜の季節 @湯や 晴ル音

湯や晴ル音で建具の不具合があるとのことで現地確認に行ってきました。

施設の完成からちょうど1年、湯野の里も今まさに桜が満開です。

建具調整の段取りを行い、帰路につきましたが、この場所は特に桜の季節が美しく、まるで桃源郷に迷い込んだような気分になりました。

 

 

今年一年を振り返って

 

2024年もあと2日、当事務所も今日で仕事を納めます。

今年は、昨年から続いてきた湯野温泉の温浴施設の工事が無事完成し、4月1日に「湯屋晴ル音」としてオープンしました。

穏やかな湯野の自然風景の魅力を引き出し、その風情を感じながら、ゆったりと過ごせる場所をデザインしました。この場から新たな交流が生まれることを期待しています。

 

6月には、これまでの仕事を雑誌 建築ジャーナルに掲載いただき、事務所設立から25年の節目となりました。

 

11月には病院をコンバージョンしたカフェがオープン。かなりのローコストで大げさなことはしていませんが、ゆったりと過ごせる場所になるようこだわった空間です。 OTONARI  CAFE(周南市新堀6676−9)

 

現在、4つのプロジェクトが同時進行で進んでおり、来年の春以降、順次工事が始まる予定です。どれも個性的なプロジェクトで、その個性が魅力となり、住み続けるにつれて愛着につながっていく、そんな建築をめざしていきます。

皆さんにとっても、心豊かに過ごせる年となりますように。来年もどうぞ宜しくお願いします。

 

 

人と動物、共に暮らす場

大分の臼杵の家が完成して、この秋で3年になります。

最近、猫2匹が家族に加わり、猫用のステップとともに、元々飼っているゴールデンレトリバーの段差昇降用にステップをつけるご相談をいただきました。

現在、猫や犬などを飼っている世帯は日本全体の25%あるとの統計もあり、人と動物が共に暮らすというライフスタイルが当たり前の時代になりました。一方で、農業が主体だった時代には、家の一部に家畜小屋が一体化していたこともあり、必ずしも特別なことでもないのかもしれません。建築的には、岩手の曲がり屋など、ひとつの様式になっているものもありました。

ということで、新たな時代の同居のあり方をイメージしつつ、人も動物も生き生きと暮らせる場を検討中です。

写真はお施主さんから送っていただいたお店の入り口部分ですが、どこか日本離れしていて、ナポリやシシリアの旧市街を想起してしまいました。

経年変化が進みつつある銅板の引戸や杉板の風情がなんとも渋い。      いや、すでに渋すぎです!

設計当初から経年変化を楽しみたいと言われていたお施主さんのご希望だった姿が少しずつ立ち現れていて、今後の変化がまた楽しみです。

 

 

時は文化なり

長年続けている茶道は昨日が今年の初稽古、
先生が作ってくださった点心をいただきました。
 
仕事では常に時間に追われる日々ですが
稽古では、いつもの所作を改めて繰り返すことによって
乱れていた心が少しずつ整っていくようです。
 
速さではなく、逆にゆったりと
そしてできるだけ丁寧に所作を行う時間をかみしめていく。
 
「時は金なり」とはよく言いますが
あえて「時は文化なり」という価値を磨いていきたいですね。
 
 

豊かな時間をさらに求めて

あけましておめでとうございます
 
今日から湯野では工事が再開されました。
 
周南市の山あいに位置する湯野地域は周囲を山に囲まれた盆地で
その盆地を貫いて流れる夜市川沿いに古来より温泉が湧出し
戦前から温泉を利用した療養地として活かされてきました。
 
盆地に流れ込む雨水は田んぼを潤して
田植えの時期には一面が湖のような水面となり
青い空と雲を地上に写し込み、穏やか自然の景色が現れます。
 
この穏やかな風景は、とてもとても何気ないもので
いわゆる「絶景」とはまったく異なるものですが
その穏やかで平和な風情にこそ、この湯野の個性が潜んでいると感じています。
 
この穏やかで平和な風情を最大限に生かし
時間を気にせずゆったりと過ごせる場をめざしています。
 
昨年はチャットGPTなどAIの進化を身近に感じる年でしたが
そのスピードは、今後もさらに加速していきそうです。
 
世界では日々、大変なことが起こっていても
いちいち気にとめる余裕もないほどに時間が過ぎていきます。
 
そんな時代だからこそ、
オルタナティブとしての平和で豊かな時間がとても大切になると考えます。
 
TIMEでは、引き続きこの豊かな時間にこだわって
人間らしく過ごせる時間と場を提供していきたいと思います。
 
今年もどうぞよろしくお願いします。
 
 

水の郷

一面に水が張られ、田植えを待つ山里の風景
新たなプロジェクトの関係で湯野地区の風景を見てきました。
 
 
 
 
 
 
棚田の水鏡に映り込む青空が美しい。
梅雨入り前の棚田では一斉に田植えが行われていました。
 
 
 
 
 
 
ほとんど湖のよう
 
まるで土地という土地すべてが水に満たされたような風景は
アスファルトに覆われた市街地に住む人間にはとても新鮮です。
 
 
 
 
 
 
水しぶきを上げながら、滔々と湧き出してくる清らかな水
山から湧き出した水は水路を通じてそれぞれの田んぼに導かれていきます。
 
あちらこちらに水の音が響き、豊富な水があふれる郷は
自然の豊かさを感じさせてくれます。
 
 
 
 
 
 
棚田の石垣と水田の苗
 
これらはあくまで人間がつくり出したものですが
不純物のない自然物だけでできた風景はなんとも美しい。
 
 
 
 
 
 
石垣は自然石を巧みに積み上げたランダムなもので
自然の形に寄り添いながら人間の知恵が加わってできています。
 
 
 
 
 
 
こちらの棚田はやや新しいものか・・・?
石垣のうねる曲線が現代建築のような造形にも見えます。
 
 
 
 
 
 
 
こちらはおまけですが
太陽の光を受けて黄金色にかがやく麦畑と新緑の山並み、そして青空
何気ないですが、みじかな場所にもこんなに美しい風景が存在しています。
 
 
 
 
 
 
山の中腹まで登って見下ろした湯野の郷
 
周囲の山に囲われた、すり鉢状の土地が
山から湧いてくる豊かな水の受け皿になっていることがわかります。
 
特別な何かがあるわけではないけれど
こんなにも豊かな郷だったのかと、再認識させられました。
 
豊かな自然に抱かれた水の郷は
じわっとインスピレーションを与えてくれました。
 
 
 

 

「つなぐ」をデザインする

 
大学卒業後、10年間、建築設計を一から教えてくださった北山さんから
最新の作品集が届きました。
 
集大成とも言えるこの作品集のテーマは「つなぐ」
 
40年以上にわたり、まちと人、景色と人、そして人と人をつなぐ建築を意識して
建築だけで完結するのではなく、周囲のまちや景色とのつながりのなかで
建築をデザインしてきた作品をみることができます。
 
 
 
 
 
 
 
最近作の草津温泉再整備計画
 
時代の変化で衰退しかけていた草津温泉の個性を丁寧に読み取り
10年以上の時間をかけて、点から線へ、線から面へと計画を展開し
少しずつ個々のスポットを改修しながら全体の回遊性を高めていった
エリアリノベーションのお手本のようなプロジェクトです。
 
4年前、現地で計画中の敷地を北山さんが案内してくれたので
完成した姿を見ると、まさに、ビフォーアフターを実感します。
 
テレビの中継で映し出される有名な湯畑周辺の賑わいには
この再整備の計画が大きく貢献しているということがよくわかります。
 
 
 
 
 
 
 
作品集には過去の事例を多く取り上げられており
若い頃に関わった福岡のベイサイドプレイス博多埠頭も掲載されています。
 
当時はバブル全盛で、派手さや豪華さばかりが求められるなか
建物と港の間にあえて広々としたウッドデッキのスペースを設けて
人々がゆったりと過ごせる空間のゆとりを生み出したデザインは
今の時代にも通ずる考え方だと思います。
 
建築自体のデザインは時代とともに変化していきますが
「つなぐ」という考えには時代を超えた普遍性があり
様々な形で私の設計にも受け継がれています。
 
 
 

 

臼杵の家、新聞掲載

一昨年の秋に完成した大分県の臼杵の家
このたび大分合同新聞の住宅特集にに掲載されました。
 
周南市からは車で約4時間、設計から完成までに2年余り、
長い時間を感じるプロジェクトゆえに、とても思い出深い仕事でした。
 
先日、建築家の磯崎新氏がご逝去されましたが
大分県は礒崎氏の出身地で県内にも幾つかの代表作を残されています。
 
その礒崎氏の薫陶が根付いているせいか
大分県内には建築に対する意識の厚みのようなものを感じます。
 
改めて、彼の地にて設計した建物がこのような形で
取り上げられたことに感慨を覚えます。
 
 

余白のある時間

あけましておめでとうございます
 
令和になって5年目を迎えました。
世界は激しく動揺し、私たちの日常も日々変化を続けています。
 
 
タイムパフォーパンスの略語ですが、
時間あたりの効率や満足度を意味することばです。
 
確かに、自分も動画の倍速視聴をすることが増えた気がします。
忙しい現代社会では、少しでも効率よく情報を得たいものです。
 
それでも
効率や結果を優先することが行き過ぎてしまうと
ただただ時間を消費するばかりで、
心に深く刻まれることは逆に減っていくような気がします。
 
時間の長さは誰にも平等のはずですが
その時間をどのように使うのか、そしてどのように過ごすかによって
結構、人生が変わるような気がします。
 
忙しい現代だからこそ、オルタナティブとしての「時間の価値」があると感じます。
 
 
 
 
 
この写真は、南フランスのフレジュスというまちの広場でのひとときです。
 
詰め込むではなく、ゆったりと過ごす目的のない時間、
それは余白のある時間と言ってもよいでしょう。
 
決して無駄な時間ではなく、豊かな時間。
 
慌ただしく、不穏な日々が続く中でも、
少しでも穏やかに、そしてゆったりと過ごせる、
そんな豊かな時間と場を大切にデザインしていきたいと思います。
 
本年もよろしくお願いします。