週末連載 台湾41

迪化街の目抜き通り
整然とした低層のまち並みは日本統治時代に整備されたもの。
 
賑やかな色の袖看板が今も変わらぬ活気を物語りますが
1970年代の道路拡張計画で消滅する危機もあったといいます。
 
それに対し、台湾大学の教授や市民団体が反対運動を展開、
容積率の移転という台湾初の裏ワザによってこのまち並みの保存に成功。
まさに知性と感性の勝利です!
 
 
 
 
 
建物の足元部分は以前にも触れた亭子脚が連続して
商業空間の賑わいに貢献しています。
 
 
 
 
 
石づくりの西洋建築をモルタルやタイルで読み直したファサードは
文化の混交の奥深さを今に伝えています。
 
 
 

 
 
 
 

夏の高野山12

福智院にある重森三玲作の三つの庭、
こちらは本尊、愛染明王の名を冠した愛染庭。
 
山門から本堂へ貫かれたまっすぐな軸線、
右にサツキの刈り込みと石組、左に幾何学的な縁取りと砂紋のコンポジションで
伝統とモダンが対峙しています。
 
 
 
 
幾何学的なグリッドには3色の砂が配されて区割りされつつ
砂紋の流れが連続する二層構造です。
 
 
 
中央広間に面した登仙庭
 
奥に蓬莱山、手前の池泉に鶴島亀島を配した伝統的な構成ながら
うねる曲線は重森独自の大胆な表情。
 
 
 
ちなみに今回、庭奥に見える部屋に宿泊、
1日を通してこの庭とともに過ごす至福の時間を堪能。
 
 
 
手前の鶴島、サツキの刈り込み、そして奥に杉林。
近景、中景、遠景の基本構成にも独自の表現が迷いなく表現されています。
 
 
 
 
 
四方を客殿に囲われた蓬莱遊仙庭
 白砂と赤砂の二色による大波の激しい表情と石組の構成
 
 
 
 
まるで二つの波が激しくぶつかり合う様を見ているようです。
感情の起伏、意思の強度がダイレクトに伝わってきます。
 
 
 
 
 
もはや美醜の境さえも超えた感のある表現。
 
 
永遠のモダンを探求した重森三玲の庭、
伝統に対する攻守の葛藤から生まれる創造性が大きな勇気を与えてくれました。
 
 

週末連載 台湾40

真っ赤な丸提灯とアールデコ様式のビル
 
迪化街にやってきました。
このまちの歴史は古く、19世紀の清朝時代に貿易のための商店や問屋街が開かれ
日本統治時代、戦後の中国統治を経て、現在は観光地としても賑わいを見せています。
 
その繁栄の歴史は、必ずしも直線的なものではなく
中国や日本、日本を経由して移入された西洋の文化などが
まるで積層したケーキの断面のような風景として見えてきます。
 
 
 

夏の高野山11

石庭に描かれた砂紋、
大柄にして大胆で、力強い曲線を描いています。
 
 
 
 
折り返してうねる曲線
 
 
 
 
 
こんな波紋の模様も・・・
 
 
 
 
 
こちらがその石庭のある寺院、福智院。
 
この宿坊には重森三玲が最晩年にデザインした三つの庭があります。
今回は高野山と共に重森三玲の世界も堪能します。
 
 

夏の高野山10

金剛峯寺の石庭、蟠龍庭
 
幅の狭い渡り廊下を通り抜けた先に現れるこの景色。
白砂の砂紋が広がる中、脇に据えられた石が余白を豊かにしています。
 
 
 
 
砂紋と砂紋が直交するポイント
 
意匠上、どちらを勝たすか、線をどう止めるか
広々とした庭の中にも細部のこだわりが存在しています。
 
 

夏の高野山9

高野山真言宗の総本山、金剛峯寺
 
表門へのアプローチはとても穏やかで
太鼓橋の円弧は浅く、階段の勾配もとても緩くつくられています。
 
威厳よりも寛大さがにじみ出るようなこの空間は
すべての衆生を受け止める空海の哲学をそのまま表しているようです。
 
 
 
 
 
境内東側にある会下門の手前からの見たアプローチ見返し。
 
掃き清められた地面に朝日が落とす杉木立の淡い影。
実に清らかな時空間がただよっています。
 
 
 
 
杉木立に囲まれた境内は、逆に土の地面が広がるのみ。
入母屋の重厚な寺院に対し、かぎりなく「無」に近い余白が広がっていて
何もないはずのこの空間に、何故かこころをやすらかにする力を感じます。
 

櫛ヶ浜の家、棟上げ

櫛ヶ浜の家で増築部分の棟上げが行われました。
古くからある密集市街地の細長い敷地での工事はなかなか大変ですが
狭い空間の中でも上手にクレーン作業が進められました。
 
 
 
 
台風が去り、晴天のもと、無事棟上げ完了しました。
増築棟の奥にある既存棟と対になる形で奥行きのある住空間となっています。
これから、既存棟とともに仕上げ工事に進んできます。
 
 

週末連載 台湾39

迪化街に向かう途中、
突如現れた要塞のような集合住宅。
 
巨大な壁面もさることながら、そこに張り付いた庇、室外機、バルコニー。
どうやら個々の居住者のニーズに応じて後付けされたようです。
 
そのイレギュラーな構成が巨大壁面の威圧感を和らげて
生き生きとした人間くさい表情を獲得しています。
 
それにしても、
この後付けパーツ、一体どうやってつけたのか・・・?
 

2017.9.16 設計事務所 TIME 

夏の高野山8

高野山、もうひとつの聖地、壇上伽藍
 
高野山を開いた空海が修禅の道場として伽藍を建立。
左手が金堂、朱色が鮮やかな多宝塔は道場のシンボル根本大塔です。
 
壇上伽藍には宗教上重要な建物がいくつも配置されていますが
それ以前の法隆寺や東大寺に比べ、軸線や中心軸などが曖昧です。
 
その一方、
杉木立の中にゆったりとした間合いで配置されたランドスケープは
むしろ、伊勢神宮の境内などに近い感じがあります。
 
古神道にも通ずる真言密教の自然観がそのまま現れているようで
その世界観はすべて人に開かれ、心を開放するおおらかさを持っています。
 
 
 
 

 

櫛ヶ浜の家、配筋検査

櫛ヶ浜の家では、増築部分の基礎工事が進行中。
配筋検査を行いました。
 
 
 
 
土間や立上り部分の鉄筋径、間隔、継手の長さなどをチェック。
 
 
 
 
土間部分のかぶり厚さチェック。
こちらはかぶりが4センチしかないため、
スペーサーを入れ直してかぶりの修正を指示。
 
 
 
 
こちらのかぶり厚さは十分です。
 
 
 
 
櫛ヶ浜特有の鰻の寝床状の細長い敷地の奥行きを生かした増築棟、
既存棟との間にあるマキの木を残し、
坪庭をはさんで新旧の空間が向かい合う形になります。