岡山芸術交流6

 
 
 
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岡山芸術交流、最後にスポットへ
こちらも前川國男設計による林原美術館。
 
なお、この門は岡山城二の丸にあった長屋門を移築したもの。
この地の歴史や文脈を意識した街並みの形成を図っています。
 
 
 
 
 
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長屋門をくぐると道が斜めに折れ、その先の階段に視線が誘われます。
緩やかな階段を上ったところに低く抑えられた美術館の入口が見えてきます。
 
単純な構成ですが、大胆に場面を展開しながら
躍動感のあるアプローチ空間を創り出しています。
 
 
 
 
 
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館内に入って最初に出迎えてくれたのは大きなヤドカリ!
 
なんでヤドカリ・・・?
と、一瞬戸惑うのですが、よく見ると借りている「ヤド」が仮面です(笑)
 
生物とアートが混在してさりげなく違和感が漂っています。
 
 
 
 
 
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次にあらわれた映像作品、
能面にインスピレーションを得た仮面をモチーフにしたもの。
 
憂いを帯びた表情は、物思いに耽る少女を連想させますが・・・
 
 
 
 
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いきなり、瓶を激しく倒し、凶暴な性格に豹変!
 
んっ!
少女の腕が毛むくじゃら!!
 
そう、仮面をかぶっているのは人ではなくサルなんです。
 
サルに仮面をかぶせることで、野蛮な獣と少女が同居する
どうにも整理のつかない、不可思議な感覚が頭の中を駆け巡ります。
 
 
 
 
 
DSC052602顔が蜂の巣に覆われたか?蜂の巣人間か?.jpg
 
庭に横たわる女性の彫像
 
こちらも、やばい!
顔が蜂の巣に覆われてしまっています。
 
いやいや、
もしかするともともとただの人間じゃなくて、蜂の巣人間なのかもしれません!
 
 
もはや、人間とそうでないものの境がわからない異次元に入り込んでしまったような、
これまで生きてきた経験を裏切られるような、そんな体験です。
なんとも興味深い。
 
 
 

岡山芸術交流5

 
 
 
 
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岡山城、不明門
厳めしい城門の上屋の中にアート作品があるということでまずは拝見。
 
 
 
 
 
 
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島袋道浩の映像作品「弓から弓へ」
 
2台のコントラバスを演奏していますが、右側の弓はなぜか弓矢の弓!
まじめに演奏しているところに、逆にユーモアを感じます。
 
古来、狩猟や戦争に使われた弓をヒントにバイオリンが生まれたとも言われるそうで
そのことが直裁に表現されています。
 
この作品が「戰の象徴」でもある城、それも城の文化財が置かれた部屋にあるのが
なんとも示唆的です。
 
音楽やアートは平和の象徴でもあります。
争う時代から平和な時代に変わった今、この作品を見ることで
改めて平和であることをじわりと感じます。
 
 
 
 
 
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本丸に設営された仮設足場によるジャングルとその入口
これはリクリット・ティラヴァーニャが手掛けた茶室とその路地。
 
仮設フレームでつくられた結界、
その林の中を飛び石ならぬ仮設の床材を渡っていくという趣向。
 
 
 
 
 
 
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路地の途中に置かれた盆栽
 
3Dプリンターでつくられてたいわば「フェイク」ですが
「美とは捏造である」という茶道に潜む本質を暗示しているようにも見えてきます。
 
 
 
 
 
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矩折りの路地を進んだ先にある正方形の茶室
 
仮設資材やフェイクなど、常識を覆す表現は茶道の精神そのもの、
茶道と現代アートとの親和性を改めて感じます。
 
 

週末連載 台湾22

 
 
 
 
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永康街、集合住宅のファサード
 
ほとんどのバルコニーにびっしりと格子がついて、まるで監獄のようです。
しかし、格子の一つ一つは仕様もデザインも違うので
どうも入居者それぞれが自分で注文してつけているようです。
 
それにしても、この格子の目的は一体何なのか、
落下防止、それとも鳩よけ、荒手の強盗から身を守る防犯のため・・・?
 
残念ながら今回の視察ではその理由を突き止めることができませんでしたが
どの家にもついていることを考えると、台湾ならではの理由がありそうです。
 
 
 
 

岡山芸術交流4

 
 
 
 
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後楽園にある「流店」
 
後楽園は今回のイベント会場ではありませんが
以前から気になっていた「流店」を見るため足を伸ばしました。
 
2階建ての1階はほぼ完全に吹きさらし、
2階が閉じているため、1階の抜けが強調されていて
これ以上、突き抜けた開放感を感じる建築を他に知りません。
 
 
 
 
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2階は雨戸で閉じてありますが、
なんと! 雨戸の戸袋が建物より外へ飛び出しています。
 
雨戸を開けると間口いっぱいに景色が広がることになります。
是が非でも最高の開放感にこだわった、この空間に賭ける思いが伝わってきます。
 
 
 
 
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「流店」最大の見せ場
建物の中を流水が貫く、実に独創的な趣向です。
 
四方柱だけのシンプルな空間に、水という自然を取り込んだ
明快にして大胆な空間構成です。
 
午後からの日差しが水路に反射し、天井に揺らめく光を移し
静と動、自然と人工、小さい建築と大きな風景が融合する
実に感動的な空間に体が溶けていきそうです。