長方形のボリュームの左右に三角屋根の建屋が噛み込んだ特異な外観
昭和生まれの画家、秋野不矩は新しい日本画の創造を求め続け、インド滞在をきっかけに異国の地の人と風景を主題とした壮大な作品を生涯にわたり多数描きました。(秋野不矩美術館HPより)
美術館の外観は、インドの大地のもつ力強さや荒々しさがそのまま建ち上がったようなダイナミックな造形です。
自然石のスレート屋根と塗り壁の外壁
これは縄文時代の遺跡です、と言われても不思議ではないような表情は、現代のツルツルした人工的な建築が失ってしまったリアルな質感と力強さを持っています。
壁から突き出した樋の落とし口
こちらも原木を削り出しただけの原始的な造形が、荒々しい壁に影を刻みます。
外壁のディテール
日本伝統の繊細な塗り壁とは対極的なこの壁は、「仕上げた」というより「格闘した」と言った方がふさわしいような強烈さです。
画家がめざした新たな日本画の創造やインドで獲得した大地の表現が、そのまま建築の姿として宿ったような、圧倒的な存在感を放っています。
2025.5.17 設計事務所 TIME