家具・照明の現品確認@福岡

山口市泉都町プロジェクトの店舗でつくるカウンターや応接スペースで使用する家具の確認のため、福岡に行ってきました。

午前中は、福岡の大和銘木にてカウンター用の天板を確認。上の写真は、店舗の立飲み用のカウンターに使用するヒノキの一枚板です。

 

 

非日常の空間で味わう貴重な日本酒に合わせ、カウンターの天板は、和の繊細で清潔なイメージをもつヒノキを選択しました。

 

 

カウンターの面取りにも繊細さを求めて1ミリ程度とする予定です。

 

 

博多に移動し、午後からはソファや照明の確認。

博多リバレインにある NOUS PROJECT にてソファの現物を確認。今回、家具や照明のご提案をお願いした廣中夫妻の案内で、建主と共にソファの寸法や座り心地、生地の質感や色合いなどを確認しました。

 

NOUS PROJECT は久留米にある「ユーカス」のオリジナルブランドで、性能や座り心地とデザインのバランスもよく、クオリティの高い家具ながら海外メーカーに比べ、コストも魅力です。

 

 

こちらは最終的に選んだソファ。奥行きが108センチと深く、よりくつろいだ座り心地が好評だったため、当初提案されていたものから変更することになりました。やはり、現物を確認し、実際に座って感じることが大切さです。

 

 

ソファの形が決まったら、空間に合わせてソファの生地を確認していきます。今回は、白い空間に合わせ、メインテナンス性も考慮したグレー系を選択しました。

 

 

ソファを確認したあとは、廣中氏のオフィスも兼ねるご自宅へお邪魔し、取り寄せていただいた椅子や照明器具を確認。

このペンダント照明は、ルイスポールセンのVL45で、廣中氏のご自宅で実際に使われているもの。柔らかい造形と光が印象的で、ここと同じように玄関スペースに使用します。

 

 

店舗の4人席で使う椅子は、剣持勇デザインのNo.207。黒漆のような質感に肘掛と背板が一体化した曲木の造形が個性的で、シンプルな形ながら座り心地もなかなか良いです。

 

 

細かい内容をさらに打合せするためにリビングに移動。

隣接するキッチンはシンプルながら北欧の素朴なキッチン用具が並び、センスがよく、居心地のよい空間です。

毎年デンマークへ買い付けなどに行かれるとのことで、この空間もなにかハマスホイのような静けさを感じます。

 

 

最後におまけの1枚

廣中氏の事務所が入るマンションは、福岡市のネクサスワールドにあるクリスチャン・ド・ポルザンパルクの設計によるもの。そのデザインは個性とエレガントさが共存するところが興味深く、壁の足元にある巾木もなかなか個性的でした。

 

 

グラントワの大ホール

益田市のグラントワで行われたコンサートに行ってきました。多くの観客を迎えるホワイエには印象的なデザインの照明が目を引きます。。

日曜日に行われたチェロのコンサートで、チェリストの宮田大さんとグラントワを設計した内藤廣さんの対談も行われ、建築と音楽の関わりやグラントワの設計にかけた思いなどを伺うことができました。

 

 

ホワイエ空間は3階まで吹き抜けていて、まるで大聖堂のような荘厳さです。

 

 

ホール側面の壁はコンクリートむき出しで壁が多面体のように折れ曲がっています。このコンクリートという硬く重い素材と、反響を考慮した屈折する壁面が豊かな音響効果を生み出し、どの席にいてもクリアな音が聴こえるそうです。

 

 

コンクリートの壁はホールの外側にも多面体の形がそのまま現れています。

 

 

こちらはかなりマニアックな写真になりますが、多面体のコンクリートの6本の折れ線がズレることなく見事に一点に集まっています。

当たり前のように見えるかもしれませんが、図面で描くことができたとしても、それを実際につくるのはそう簡単ではありません。

巨大な空間をたくさんの職人たちが連携し、協力して同じ目標へ向かって集中しなければこんな仕事はできないでしょう。

さらに、この造形はコンクリート打放しという一発勝負でつくられていて、まさに執念の仕事と言ってよいでしょう。

圧巻の造形です!

 

 

住まいづくりの会 四国視察

瀬戸大橋を渡り、四国へ

設計や施工で建築に関わる有志による住まいづくりの会、年に一度の建築視察で今年は四国へ行ってきました。現在3つの工事が進行中で現場に追われる日々ですがこの企画を楽しみにしてくれている仲間のために、なんとか時間を見つけて視察先の建築と行程を組み立て、人数分のホテルを確保し、視察一週間前にようやく計画をまとめました。

今回も建築のビルディングタイプや建設年代は多種多様ですが、四国のもつ独自性や地域性に対し、建築家がどこに注目し、何に重きを置いて建築をつくりあげたのか、その思いを探りつつ、建築の持つ力を体感しようという目的です。

 

 

こちらは香川県高松市に完成したばかりの最新建築です。

 

 

一方こちらは明治時代の建設による伝統的な五重塔

 

 

伝統木造を新たな視点でデザインしたインテリアの習作などもあり、バラエティ豊かな建築たちをこれから少しずつ紹介していきます。

 

 

山口、宇部の現場進行中

山口のプロジェクトで棟上げが行われました。雨よけ用のシートが巻かれた建物は左右が出っ張っており、それに挟まれた真ん中の部分がゲスト用リビングとつながる中庭になります。

 

 

奥行き9mのゲストリビング

左側のシート部分は天井まで全面開口となり、中庭と一体の空間になる予定です。

 

 

こちらは宇部西岐波のリノベーション

既存のリビングでは内壁や天井の解体が終わり、空間の骨格が整ってきました。正面の玄関戸とその左の窓を開けると庭の緑へと視線が延びていきます。

 

 

既存の階段の塗装を落としたところ

もともと艶ありの濃い色で塗られていましたが、1週間以上かけて丁寧に削り取ってもらいました。重厚な印象だった階段が、シャープなスケルトン階段として生まれ変わりました。

 

 

えんげの茶会@大津島

JIBIの松田さんからお誘い頂き、秋分の日に大津島で行われた「えんげ」の茶会に参加しました。

コロナパンデミックの影響で、大津島を訪れるのは6年ぶりくらいになります。 茶室 石柱庵に来るのも久しぶりですが、ガマの群生地の畔にあるアプローチを歩くと、静かに心が整っていきます。

 

 

石の立礼席では、京都の茶人 天江大陸氏の趣向による抹茶をいただきました。島を訪れ、自然に触れて時間に縛られない時を過ごすことの豊かさを天江氏の語りとともに味わいました。

 

 

菓子には大津島で採れたスダイダイをくるんだ葛餅

弾力のある餅の食感の中からスダイダイの爽やかな酸味・甘み・苦味が自然そのままの味として舌の上に広がってきます。

 

 

壁に生けけられた青柿の実

暑い日が続いていましたが、かすかに秋の気配を感じます。

 

 

客座から上田快 氏製作の石の立礼卓の奥に広がる自然の庭

引戸を開けると秋の風がスーッと流れ込んできました。

 

 

茶室の屋根にはサビが現れてきました。

元の朽ちたトタン屋根を吹き替えた当初はつやつやした銀色をしていましたが、建設から10年を経て少しずつ侘びた表情に変化してきました。

 

 

ガマの群生地ではガマの穂がちょうど見頃になっています。

 

 

こちらは数珠玉。街中ではなかなか身近に出会うことない珍しい植物です。

 

 

水辺にはホテイアオイが淡い紫色の花を咲かせています。

 

 

カラフルなシャクトリムシを見つけました。

黒い体に黄色と赤の斑点がとてもきれいで、なにげない島の自然の中に広がる豊かさを感じさせてくれます。

 

 

茶室をあとにして、ガマの群生地の奥にある厳島神社へ向かいます。

まちづくりや茶室の工事で何度も訪れたこの参道ですが、久しぶりに歩くこの道は風景とともに実に味わい深い。

 

 

厳島神社の拝殿と石の本殿

簡素な拝殿は四方全体が開放されていて、とても気持ちのよい造りです。

 

 

こちらでは白茶という中国原産のシンプルなお茶をいただきました。

木々が茂る自然に包まれた境内、自然と溶け合う拝殿の仄明るい空間、水出しのお茶からにじみ出すかすかな香り。五感を通して身も心も澄み切っていきます。

 

 

日常を離れ、時間を忘れて過ごす島のひととき

それは、現代人にとってとても豊かなデトックス。茶会をともにした皆さんとともに豊かなひとときを体に刻んで、大津島をあとにしました。

 

 

宇部のリノベーション、工事開始

宇部西岐波の家でリノベーションの工事が始まりました。

既存のリビング、ダイニング、キッチンの間仕切を取り払い、ダイニングの天井を解体しておおらかなワンルームに生まれ変わらせます。

 

 

ダイニングからL字に突き出したリビング

写真左の柱の位置に薪ストーブを設置する予定でしたが、間仕切を解体すると2階を支える通し柱だとわかったため、薪ストーブ位置を柱の右側にずらすことになりました。

古い家では当初の図面がないため、解体して初めてわかることも多く、新築にはない調整が求められますが、それを臨機応変にアレンジするのがリノベならでわの楽しみです。

 

 

天井を取り払ったダイニングの小屋裏空間

正面の壁は屋根まで立ち上げて仕切るのですが、壁の奥から屋根を支える角材が突き出しています。

壁からはみ出すのでカットしてもよいのですが、あえてこの家の歴史として、あるがままに見せることにしました。白いプレーンな壁に現れる荒々しい角材は機能を超えたオブジェとして、天窓の光を受けて日時計のように壁に影を描くことでしょう。

 

 

山口市で工事開始

少し前になりますが、山口市の湯田温泉にほど近い場所で地鎮祭が行われました。

建主の熱い思いを受けて。昨年の5月から設計を詰めてきました。45坪の平屋の建物は、日本酒の角打ちのお店や会社の応接室、オーナーの住居などが収められた複合建築です。

 

 

地鎮祭では、会社のブランドであるお酒も祭壇に飾られました。

 

 

祭壇に飾られた「MUJAKU TEN -天-

 

 

先週から基礎工事が始まりました。

昨年の湯野温泉と同様の補助金事業で、地域の活性化に寄与する施設を期待されており、来年の2月の完成を目指して力を注ぎます。

 

2025.8.25 設計事務所 TIME

設立20周年のごあいさつ

 

設計事務所TIMEは今日で20周年を迎えました。改めて、これまでご支援をいただいた多くの方々に感謝を申し上げます。

終戦記念日のこの日に、初心に立ち返るという思いで事務所をスタートし、ここまで仕事を積み重ねてきました。

社名であるTIMEには、「時を経ていくもの」という思いを込めています。

建築は空間芸術とも言われますが、一方で使い続けることや受け継ぐことがますます重要な時代になりました。

しかし、時間の効率やスピードは加速するばかりで、時間のもつ豊かな価値を見失ってはいないでしょうか? そんな状況で、果たして人間は本当に豊かな時間(人生)を送っていけるでしょうか?

そんな問いに対するTIMEのビジョンが 「時は豊かなり」 です。

日々のひとときや季節のうつろいを豊かに味わう。月日を経て育っていく愛着や大切な記憶を人生に刻んでいく。そのような場をこれからも創造したいと思います。

TIMEの建築には決して派手さはありませんが、時間を豊かに過ごすための居心地のよさにしっかりとこだわります。

暮らす人の人生がよりよい時間となるよう、これからも模索を続けて参ります。

 

2025.8.15 設計事務所 TIME

白木の軒天井

児玉神社社務所の軒天井見上げ

棟上げが終わり、耐力壁と金物、断熱材の施工状況の検査を行いました。上の写真は参道に正対する軒下空間を見上げたところ。

柱や梁はヒノキ、屋根の垂木や野地板はスギを使用しています。本殿に対して主張を抑えたすっきりとした構成ですが、白木の肌がなかなか美しいです。

このまま仕上げたいところですが、耐久性を考慮して最終的には茶系の保護塗料で仕上げる予定です。それまで、しばらくの間、ささやかな目の保養になります。

 

 

児玉神社社務所 棟上げ

児玉神社社務所の建て方工事が始まりました。

25坪の1階の上に9坪ほどの2階が載るやや入り組んだ形状の2階建てです。蝉しぐれが聞こえてきそうな暑さの中、10人ほどの大工さんがを2日がかりで建てていきます。

 

 

2日目、日が西に傾いてきた16時頃、無事棟上げ完了です。

徳山小学校の森のような木々を背に、安定感のある形が浮かび上がってきました。