週末連載 台湾25

 

永康街の繁華街を抜けた路地裏、
落ち着いた佇まいの中に、さりげなく家々の緑が潤いをつくっています。

 

 

門前を彩る植栽
 
南フランスでもそうでしたが、
家々がその個性を示しながら街並みと関わっています。

 

 

以前に触れた集合住宅のバルコニー
こちらも、格子と緑が優しい風景を作っています。
 

物干し場と化した日本のマンションにはない、公共のスピリットを感じる風景です。

 

2017.1.14 設計事務所 TIME

 

平和な建築

あけましておめでとうございます。

昨年12月にNHKのドキュメント72時間という番組で沖縄のウチナーンチュ大会を特集していました。そのなかで、ブラジルから来た二人の若者が歌を口ずさむシーンがありました。ささやくようなそのハーモニーは、歌で争いを解決したいと願う若者の思いがにじみでる平和で清らかなものでした。

世の中には良いこともそうでないこともたくさんありますが、そんななかで、あの歌声はとても心に響きました。

あの歌声のような安らかな空間であるアンリ・マティスのロザリオ礼拝堂、私が目指す平和な空間、平和な建築です。あの歌声から、改めて平和な建築への歩みを進めたいと素直に思った年の始めです。

本年もどうぞよろしくお願いします。

 

2017.1.4 設計事務所 TIME

寛容さと豊かさ

2016年もまもなく終わり、また新しい年を迎えます。

今年は昨年から続いてきたプロジェクトの多くが完成し、次のチャレンジへ向かっています。

ホテルサンルート徳山のレストランリニューアルでは、ローコストながらホテルレストランのイメージを変える方向性を提案。下松中央町の家では、既存住宅街での建替えという街並みのリフォームをデザインで模索しました。野村の家では、小さくとも豊かさを感じる家への挑戦でした。また上遠石の家では、小さなリフォームでもくらしを豊かにできる手応えを得ました。

進行中のプロジェクトは新築の1件を除き、すべてリノベーションやリフォーム、町屋再生など、古いものを現代に生かし、社会を豊かにしていくためのチャレンジです。これからも今あるものを次代にどう生かしていくかの模索を続けていくことになると思います。

大津島では、昨年完成した石柱庵を使って内田鋼一さんの個展が行われ、島での今後のプロジェクトの基礎づくりが始まりました。また来年の3月にはイベントを開催する予定です。

昨年の終わりに「社会の焦り」について触れましたが、世界を取り巻く状況はまだその焦りを解消できるだけの余裕を取り戻してはいないようです。個人の焦りは、「寛容さ」のバランスを崩して、孤立へと向かってしまいます。

TIMEでは、社会が抱える問題に正面から向き合い、人と人が豊かに暮らすための環境やきっかけとしての建築の模索に引き続き取り組んで参りたいと思います。

来る年が少しでも余裕のある良い一年になりますよう、頑張っていく所存です

2017年もどうぞよろしくお願いします。

 

2016.12.31 設計事務所 TIME

 

何気ない風景@美術博物館前

 
 
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周南市民ならよく知っているカバの地下道、
その後ろのビルには少し前までソフトバンクの店がありました。
 
店の移転とともにサインが撤去されて昼間は殺風景になりましたが
なぜか夜間照明だけが残っていました。
 
抜け殻に生き物の余韻を残すようなライトアップは
商業的なサインが省かれた分、逆に際立っていて
カバのシルエットとともに、シュールなアートの風景になっています。
 
 

週末連載 台湾24

 
 
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住宅街にひっそりと佇むカフェ
 
 
あせたモルタルのベンチ、スチールサッシュのガラス張り、
さりげなくもほどよいアクセントになっている照明、
この店は間違いない!
 
ということでこちらでコーヒーブレイク。
 
 
 
 
 
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コンクリートの土間に亜鉛メッキ状の模様を描く壁、
テーブルや椅子も風化していくテイストを生かし
オーナーのこだわりが首尾一貫しています。
 
こういう店のコーヒーは基本的にうまいのです。
 
ソウルのカフェでもそうでしたが、
日本以上に若いオーナーたちの感性が生き生きと表現されています。
 
まちの老化が止まらない日本にとってのヒントにもなる
若い文化の力が台北のまちに刺激を与えています。
 
 

 

 

神勝寺 洸庭

神勝寺の境内の裏山を上った先、道路を挟んだ飛び地に姿を現したアートパビリオン名和晃平作 「洸庭」神勝寺の母体である常石造船をイメージする船形の造形が宙に浮いています。その造形は寺院の屋根を連想させながらも宇宙船のようでも … “神勝寺 洸庭” の続きを読む





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神勝寺の境内の裏山を上った先、
道路を挟んだ飛び地に姿を現したアートパビリオン





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名和晃平作 「洸庭」

神勝寺の母体である常石造船をイメージする船形の造形が宙に浮いています。
その造形は寺院の屋根を連想させながらも宇宙船のようでもあります。

船を持ち上げた列柱はプロポーション、質感ともやや唐突ですが
純粋な形態は、建築家というよりアーティストらしい造形感覚です。





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下から見上げたところ

建物全体がサワラのこけら葺きで覆われていて、
その丁寧な仕事ぶりととも、独特の質感を表しています。

実は、パビリオンの最大の見せ場は、この「船」の中にあります。
それはこの地を訪れて味わってみられることをお勧めします。