
一面に窓がコラージュされた不思議な外観
徳島市の市街地からバスで50分ほど、街から次第に郊外へ、さらに緑豊かな山あいへと風景は変化し、やってきたのは人口1190人ほどの上勝町。
山あいの風景と呼応する赤い板壁が印象的なロッジのような建物が目的地のブルワリー併設のビアバーです。
四国山地の山間部に位置する上勝町では、葉っぱビジネスが海外メディアでも取り上げられ話題となりましたが、日本で初めて「ゼロウェイスト(ゴミゼロ)宣言」を行った町としても有名です。
このブルワリーは町の「ゼロウェイスト宣言」に共鳴した地元産のビール醸造に取り組んでおり、多彩なクラフトビールを楽しめるスポットでもあります。

外観で印象的な窓のコラージュはほとんどすべてが既存の再利用でできています。ひとつとして同じ形、寸法のないものを巧みにアレンジし、コンセプトが明快なデザインとして建築化されています。

店に入るとまず目を引くのが、ボトルを吊るしたシャンデリア
これらのボトルも再利用されたものですが、奥の大開口の光を受けて輝くオブジェとなっています。

建物のアイコンともなっている吹抜けの大開口
全面の大開口によって奥行きの深い店の奥まで光が降り注ぐおおらかな空間です。

こちらの開口も既存の建具を再利用し、コラージュしたもの
開口部は、外側のリサイクル窓と内側のマリオンと構造を兼ねた木フレームで構成されています。
コラージュされたリサイクル窓の不規則な構成とあみだくじ状にデザインされた木フレームが複雑に絡み合い、その隙間を通して表情豊かな光が漏れています。
リサイクル品を多用したローコストなデザインにもかかわらず、未来のステンドグラスのように私には感じられます。
2025.11.16 設計事務所 TIME

