室積の家、1年検査

 
昨年完成した室積の家にて1年検査を行いました。
 
モルタルと板壁を幾何学的に構成した外観は
1年分の経過で少しずつ表情が変化してきました。
 
 
 
 
 
 
モルタルの壁は雨風にさらされ
フラットな大きな壁に濃淡の模様が定着しつつあります。
 
 
 
 
 
 
板壁のほうも庇のある部分とない部分で色の変化が出始めています。
 
建物は丁寧に扱えば100年以上使うことができます。
当然、その間に色合いや質感は変化していきます。
 
人間が年をとるとともに深みを増していくように
建物も自然の営みに従ってありのままに表情を変え
深みを増していけることを願っています。
 
 
 
 
 
 
2階のキッチン
スチールフレームのキッチンカウンターと構造用合板の棚だけの
むき出しのローコストキッチンですが
暮らす人の個性が加わることで暮らしのリアリティが豊かに現れています。
 
今回、暮らしの中での気づきや使い勝手をお聞きして
木製の玄関引戸への戸当たりの取付や庇の雨だれ処理など
いくつかの調整を行うことになりました。
 
建主のお話をお聞きしなら
1年の経過の中で暮らす人と家が少しずつ溶け合って
暮らしのかたちが定着し始めていることを実感できました。
 
 
 

くらしの風景 @室積の家

完成して2ヶ月経った室積の家を訪問、
家のあちこちにくらしの雰囲気が滲み出しています。
 
キッチンには調理道具や食品などがぎっしりと並び、
当初イメージしていたリアルなくらしの風景が現れています。
 
 
 
 
 
ご予算の都合もあり、当初は単純な棚だけでしたが
建主自身で引き出しなどの収納を上手にアレンジされています。
 
 
 
 
 
何気なく並んでいる道具類は
色合いや素材感に適度なまとまりをもたせてあり
建主のセンスがさりげなく現れています。
 
 
 
 
 
今回は「見せる収納」を建主と共有できたことで
「隠す収納」とは違う、生き生きとしたくらしの風景が生まれました。
 
 
 

2020.1.24 設計事務所 TIME

プレーンとストイック

室積のスタジオ付き住宅、
カメラマンの建て主が撮影された写真をいただきました。
広角レンズで撮影されたスタジオ空間がとても伸びやかです。
 
 
 
 
 
撮影用背景としての、2枚の色付きのスライディングウォール、
戸袋部分はこれも背景となる板壁、左側にはモールディングされた白い扉。
 
 
 
 
 
2階の住宅部分
14畳弱のコンパクトなリビングルーム。
必要最小限の棚だけのストイックなデザインは、
住む側の感性で自由にアレンジできる空間でもあります。
 
 
 
 
 
 
キッチン側からの見返し
リビングの奥は、2つの個室と収納スペース
 
 
 
 
 
ブラインドで抑制された光によって、落ち着いた空間に
 
 
 
 
 
キッチンの脇にはインナーの物干し室
 
 
 
 
 
天井は全面ガラス、サイドは開閉可能な引き違い窓
床は防滴のビニルシート、壁は調湿効果のある板壁。
仕事で外出が多い建主にとって、雨の日も心強い物干し室です。
 
 
 
 
可動間仕切りで開閉可能な2つの個室
小さな部屋ですが、暮らしの変化に柔らかく受け止めます。
 
 
 
 
個室に隣接する収納部分
こちらも最小限の棚やハンガーパイプのみ。
 
ローコストゆえのプレーンで簡素なしつらえは、住む側の自由度を広げ
暮らしの変化を柔軟に受け止めるデザインでもあります。
 
 

室積の家、竣工写真撮影

室積のスタジオ付き住宅がほぼ完成し、
カメラマンのお施主さんと一緒に竣工写真を撮影しました。
 
 
 
 
 
1階スタジオ部分には、ロールスクリーンが取付けられ
外光がやわらかく差し込んでいます。
 
 
 
 
 
2階キッチン
ブラインドを通した落ち着いた光が
インダストリアルな素材感を引き立てています。
 
 
 
 
 
ダイニングテーブルとペンダントライト
お施主さんが選んだ家具たちが空間に生気を与えています。
 
 
 
 
 
ラワンや濃い目の床が陰影を深め、
ローコストな素材ながら、味わいのある空間に仕上がっています。
 

室積の家、ストイックな外観

道路側正面の1階部分の板貼りが完了しました。
 
スケール感は周囲のまち並みに合わせつつも
明らかに固有の雰囲気を持つ外観が生まれました。
 
モルタルや木の表情のみでまとめ、
あえて開口部を控えめにしたストイックな外観に仕上がっています。
 
このあと、完成へ向けて外構を整備していきます。
 

室積の家、仕上進捗状況

外部の足場が取れました。
外壁のモルタルはすでにシブい表情が現れ始めています。
1階部分にはこのあとベイスギを貼っていきます。
 
 
 
 
スタジオ内部に、撮影背景用のドアが取り付けられました。
壁と同じ白い色に仕上げられますが、表情を出すために
ドアにはアンティーク調のモールディングが施されています。
 
 
 
 
2階の寝室と子供室。
建材倉庫で2時間粘って選んだラワンの建具たち、
お施主さん自らが塗装した白い空間の中で、とてもいい表情を見せています。
 
 

室積の家、仕上工事進行中

室積の家は仕上工事に入っています。
2階住居部分は工事費を節約するため、建主ご自身による塗装工事。
 
養生、パテ処理、そして仕上げ塗りまで、すべてご自分たちで塗られました。
塗装は初めてとのことでしたが、仕上がりはなかなか上々です。
 
手間と時間はかかりましたが、かなりの金額が節約になり、
思いの込もった空間になったのではないかと思います。
 
 
 
 
 
 
1階スタジオ部分、
こちらは仕上がりの精度を重視して本職による塗装。
現在下地塗りが終わったところです。
 
 
 
 
 
壁の一部は撮影背景用の左官仕上。
あえてコテ跡を残した表情に仕上げていく予定です。
 
 

安モノから一生モノへ

建具に使うラワンベニヤの選定のため、
山口のオバラボードさんの資材倉庫にやってきました。
 
いつものごとく、一枚一枚を立てかけては、木目や節、キズなどをチェック。
2時間かけて500枚以上の中からなんとか30枚分を選び出しました。
 
ベニヤは本来下地や押入れなどに使われる裏方のもの。
いわゆる安モノですが、木目を吟味して選べば、それが一生モノに変身します。
 
 
 

仕上げの表情

室積の家、
外壁のモルタルに少しずつ表情の変化が現れています。
 
 
 
 
 
雨や紫外線に晒されることで現れる微妙な「にじみ」。
人間の意志だけではつくり出せない表情が時間とともに生まれはじめています。
 
 
 
 
 
こちらはスタジオ部分の天井。
建主のリクエストによる木毛セメント板です。
 
吸音性を考慮して採用した素材ですが
その無機質さとは対照的に、木の梁との相性が抜群です。
 
 

モルタル壁、仕上塗り

室積の家、モルタル壁の仕上げ塗りが始まりました。
 
 
 
 
 
外壁の面積がかなり大きいため、3人の職人が手分けして仕上げていきます。
黙々と仕上げていく仕事ぶりに確かな技術を感じます。
 
 
 
 
 
リーダーの福田さん
 
TBSテレビのメイドインジャパンにも登場、
スペインに日本庭園をつくった職人のひとりでもあるんです。
 
 
 
 
 
丁寧に平滑に仕上げられていく外壁
 
モルタル塗りというと、一見ドライな感じがするかもしれませんが
実は、職人の繊細な手仕事の技に支えられているのです。