



縁あって、見せていただいた住宅の現場。
つくっているのは、錦帯橋の架け替えを手がけた海老崎棟梁。
ローコストと言いながらも、しっかりとした骨組みです。(接合部に注目)
法律では、住宅の骨組みに10年保証が義務付けられていますが
「そんなもん、瞬きみたいなもんですよ」と棟梁。
そこには、100年単位でものづくりをする技と哲学がありました。
木目の表情が豊かです。
このブログでも時々登場する大工の有井さん、
築30年の住宅の床をリフォームするというので現場を拝見。
掘り出し物の杉材を見つけたとのこと、
小国産の杉は、油ののった松のような表情です。
目も詰まっていて、長持ちもしそうなこの杉は
魚で言えば、トロのような上物です。
賀茂神社本殿、側面のデザイン。
右角の柱とその上の梁は平面上ずれていて
それを複雑な組み物で調整して力を伝達しています。
大事な本殿を風雨から守りたくて,
少しでも軒を深くするためにずらしたのか?
定かではないですが、
マニュアルにはないオリジナルデザインです。
神社なんてどこも同じと思いきや、なかなか、大工の知恵と業が光ります。
とは言え、ちょっとマニアックではありますが・・・
ただいま、検査中。
大工の有井さんが神社の鐘楼をつくり直したというので
完成した鐘楼の耐震検査を見学させてもらいました。
建物の硬さや粘りが判断できるソフトを使って
X,Y軸の水平方向、床の上下振動を計測。
これで、固有周期を割り出し、構造の安全性を確認します。
金物を使わず、木組みを生かした構造が、有井さんのこだわり。
古い小屋組と新しくなった胴部分の新旧の組合せで
これからも大切な鐘をずっと守っていきます。
「お前は女を知らんだろう!!」
開口一番、
部屋に入った瞬間に浴びせられた一言。
設計事務所での修行時代、
所長のかわりに話を聞くように言われて向かった応接室での出来事。
海坊主のようなギョロ目で丸坊主の大男こそ
かの田中文男氏でした。
木は女と一緒だ!
女を知らんと木は扱えん!!
そんな話をまくし立てていたような記憶しかないですが
数分間の接触は強烈な印象を今も残しています。
その氏が8月9日にご逝去されたそうです。
木造の「も」の字も知らなかった私が最初に洗礼を受けた貴重な方です。
心より、ご冥福をお祈りします。
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http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20100817/542858/
土曜日に阿知須の北方八幡宮を見学しました。
現在、修復工事中の木造建築物です。
鳥居の奥に見えるのが修復中の楼門、
ヘルメットを被って腕組みしているのが今回、工事を担当する 「親分」。
楼門は、やや頭でっかちですが、なかなかの威容。
しかし、頭でっかちのせいか(?)だいぶ傾いてます。
現在、足元をジャッキアップしているところ。
今回、特別に上がらせてもらった2層部分。
江戸時代の建物らしいですが、屋根の重みで下がってきています。
それでも、
その隙間から木組みの仕組が見て取れます。
斗供と言われる組物を間近でチェック。
木と木を組み合わせながら複雑な形をつくっています。
長い年月、風雨にさらされ、骨組みは歪んでいますが
それでもある程度の修復は可能です。
こちらは、楼門の奥にある拝殿と本殿。
楼門にも増して、優美な姿です。
木と木を巧みに組み合わせた日本伝統の技に
木造の本当の姿を垣間見たような気がします。