グラントワと内藤廣

水平のプロポーションがとても美しいグラントワの中庭
 
 
 
 
 
 
中心に水盤が配された45m角の中庭は市民に開放された
おおらかでとても気持ちのいい公共空間です。
 
 
 
 
 
 
グラントワのある益田市人口5万ほど、
このような小さな地方都市で
これほど豊かなオープンスペースはなかなか存在しないかもしれません。
 
この豊かな空間をデザインしたのが建築家の内藤廣氏、
昨日、NHKの日曜美術館で、その内藤さんが特集されました。
 
日曜美術館(見逃した方は今度の日曜日、午後8時から再放送あり)
 
 
 
 
 
 
グラントワでは現在、内藤廣氏の展覧会
 
内藤さんがこれまで実現してきたした建物、
そして残念ながら実現されなかった設計案など
膨大な量の図面・スケッチ、そしてリアルな模型とともに
建築に込めた思いに触れることができます。
 
ちなみに、わがまち周南市の徳山駅前図書館も展示されています。
 
 
 
 
 
 
展覧会初日には内藤さんの講演会も開かれ
グラントワを設計したときの経緯や設計のこだわりなどを聴くことができました。
 
展覧会は12月4日(月)まで長期間、開催されています。
 
地方都市でこれほどの規模の展覧会はとても貴重で
しかも建築家自身が設計した建物とともに見学できるのは
なかなかない機会でしょう。
 
建築やまちづくりに興味のある方は
ぜひ見学に行かれることをお薦めします。
 
 
 
 
 
 
そして、こちらはおまけですが・・・
 
グラントワから車で10分ほどのところにある
うどんの自販機コーナー
 
NHKのドキュメント72時間でも放送された
知る人ぞ知るスポットです。
 
 
 
 
 
 
とてもオーソドックスなうどんやそばですが
なぜかホッとするおいしさがじわーっと心に染みます。
 
 
 
 
 
 
無人の休憩スポットは最低限のしつらえしかありませんが
気軽で美味しい食べ物、椅子とテーブル、気持ちいい川沿いの空間という
最強の三点セットが整った穴場スポットです。
 
混み合うほどの賑わいではないけれど
なぜか立ち寄る人の絶えない、
エッセンスのあるコミュニテイスペースです。
 
 
 


 

 

引き続き、減額調整

湯野の温浴施設は、引き続き減額調整を進めています。
今日は、外構の舗装や植栽の内容見直しを行いました。
 
このプロジェクトは温泉施設がメインの機能ですが
広い敷地と湯野の里の環境が一体となる風景がもう一つの主役と捉えています。
 
コストをセーブしつつも、緑豊かで風情のある風景となるよう
試行錯誤を重ねながら調整を図っていきます。
 
 

見積り調整中

湯野の温浴施設は、設計から見積りに進み
減額調整のための作業が始まりました。
 
今日は、木工事や建具・家具などの内容見直しとともに
サンプルを確認しながら、デザインの方向性も調整を図っています。
 
役所の手続きも同時並行で進めており、息つく暇もない状況ですが
工事に向けてまだまだ山場が続きそうです。
 
 

”わざわざ” 行ってきました

長野県東御市の山の上にあるパンと日用品のお店、わざわざ
手作り感のある素朴な看板が迎えてくれます。
 
 
 
 
 
 
 
矢印の奥に山小屋の風情を感じる入口
木の外壁や扉、アプローチの石組など
素人っぽさがありながらも店のコンセプトがちゃんと感じられます。
 
 
 
 
 
 
 
ドアを開けると正面に焼きたてのパンが迎えてくれます。
自家製の窯で焼かれた食パンやカンパーニュ、
おいしいだけじゃなく、体にもよさそうです。
 
 
 
 
 
 
 
手前のカウンターにはスコーンやクッキーも
 
 
 
 
 
 
 
カウンターから折り返すと、
壁一面に食品や雑貨類がびっしりと並んでいます。
 
 
 
 
 
 
 
正面の壁の向こうにはもう一部屋、小さな空間があります。
 
 
 
 
 
 
 
隣の部屋へは2階へ上がる階段の脇をくぐって行くという趣向
コンビニなどの機能的な店では出てこない仕掛けがあり
オーナーがあれこれと試行錯誤しながら
楽しんで店づくりをしたのではないかと想像されます。。
 
 
 
 
 
 
 
隣の部屋にも様々な種類の雑貨が並んでいます。
小さなスペースですが、まるで小宇宙のようで
宝探しをするように、商品との出会いを楽しめます。
 
 
 
 
 
 
 
階段を上がると、屋根裏のような小さな空間
かろうじて人一人が入れる程度の狭い空間ですが
イレギュラーな空間も余すことなく使いこなしています。
 
 
 
 
 
 
 
突き出しのガラス窓
木製枠に縦縞のガラスやストッパー金物など
既製品のアルミサッシュは使わず、手作り感と素朴さを貫いています。
 
 
 
 
 
 
 
床の段差部分
 
実付きの床板の木口を現しにした蹴込み板を
そのまま床の見切りにするという潔さ
 
プロの仕事ではなかなか出てこない処理方法がむしろ新鮮で
一枚一枚、微妙に高さが揃ってないところなども
人間が手作りしたからこその揺らぎが心地よい。
 
 
 
 
 
 
陳列されている素朴でオーガニックな商品たち
 
これらの商品とお店の方向性が一貫していて
ざっくりした空間の中にも調和した世界観が現れています。
 
こんなにローコストで手作り感満載なのに
明確な方向性と軽快な創造性が発揮されていて
プロのデザインでは出てこないようなユニークさに
新鮮な感覚を味わうができました。
 
 

宇部の家 耐震工事進行中

 
宇部の家の耐震工事が始まって1ヶ月あまり
梅雨末期の豪雨もあり、基礎の掘削にてこずっていましたが
ようやくコンクリート基礎を据える段階まで来ました。
 
写真は南側座敷のコーナー部分
ジャッキアップした家の下を手掘りで掘り下げ
コンクリート基礎用の鉄筋を組んだところです。
 
 
 
 
 
 
 
コンクリートを打ち終わったところ
地盤沈下していた建屋はこの基礎でしっかり踏ん張ることで
耐震上も安定した状態になりました。
 
 
 
 
 
 
 
外周まわりの基礎は全周で75m以上もあり、
それをすべて手掘りで作業して行くため、とても時間がかかります。
 
南側の座敷側から西面をまわってようやく建屋の北面まで作業が進んできました。
それでもまだ半分以上残っています。
 
 
 
 
 
 
 
今回、地盤沈下の原因のひとつと考えられるのが屋外排水の建屋への侵入
 
それを食い止めるため、
特に排水状況の悪かった建屋の西側に排水溝も新設、
建屋周囲の排水状況もかなり改善できそうです。
 
工事開始からここまで1ヶ月あまり、
実に手間と時間の掛かる仕事ですが
その分、今後100年の安心につながることを考えれば
案外、コスパやタイパは高いと言えるかも知れません。
 
 

ECRUHOME カーテン打合せ

宇部の家の改修に合わせてカーテンを新調することになりました。
ならばと、ECRUHOMEをおすすめしたところ、快諾いただき
建主と生地の打合せを行いました。
 
 
 
 
 
 
ECRUHOMEの作るカーテンは麻のもつオーガニクな質感と
生地の素材感を生かした自然でやさしい色合いが特徴です。
 
TIMEのデザインするシンプルな空間にとても相性がよく、
空間に心地よい雰囲気を与えてくれます。
 
 
 
 
 
 
室内に差し込む光の透け感や表情など、幾つかのサンプルを確認いただき
バランスのよい生地をセレクトしていただきました。
 
 

模型スタディ

慎重に屋根をはめ込んでいます。
 
インターンシップでお預かりした徳山高専の学生さんに
2週間かけて1/50の模型を製作してもらいました。
横長の建物は50センチ以上で結構なボリューム感です。
 
 
 
 
 
 
室内の家具や浴槽もこのサイズになると細かく作り込むため
なかなか苦労しながらも、コツコツ作ってくれました。
 
 
 
 
 
 
庭側正面の外観
 
開放感いっぱいの開口部がポイントですが
視覚的な開放感を強調するためにガラスを大きく割付けるか、
それとも細かく割付けて、開閉できる窓をたくさん設けるか、悩みどころです。
 
 

湯野のプロジェクト、始動

広い敷地の奥にそそり立つ松の大樹
 
元旅館の跡地は、扇状地の一部になっていて
手前の道路に向かって緩やかな下り斜面を形成しています。
 
松の大樹の左手前には既存の大浴場が残っています。
この大浴場に、新たな温浴施設を加えて
湯野の里に活気を生み出すプロジェクトが動き出しました。
 
 
 
松の大樹をシンボルツリーに見立て
扇状地のもつ広がりを素直に生かして新たな施設を松の木の右側に配置
 
末広がりに開ける風景がこの山里の風景と溶け合うように
この場のもつ豊かな風情を引き立てるべく、デザインをまとめていきます。
 

宇部の家 工事開始

宇部の家の工事がついに始まりました。
 
築85年の木造家屋は地盤の不同沈下などにより
あちこちに骨組みの歪みが発生しています。
 
その歪みを矯正するために基礎が接している地面を掘り下げ
コンクリート基礎を打設し、ジャッキによって家のレベルを矯正します。
 
 
 
 
 
 
家をジャッキアップするため、
基礎とつながっている玄関土間などのコンクリートを解体しています。
 
 
 
 
 
 
玄関の引違い戸は愛着のある一品のため
建主と相談し、再利用する予定です。
 
 
 
 
 
 
玄関引戸の敷居レールも年季の入った質感に味わいがあり
できるだけ再利用したいと考えています。
 
 
 
 
 
 
家の西側の座敷部分はかなり地盤が下がっているため
基礎下の地面を彫り込んで矯正していきます。
 
 
 
 
 
 
基礎の長石の下にあった土は、新たなコンクリート基礎のレベルまで掘り下げ
レベル調整するためのジャックで支えていきます。
 
これらの工事は機械で行うことのできない人力の仕事になるため
それなりの時間と手間がかかります。
 
それでも、これらの手間をかけることによって
これからの何十年かを愛着のある家とともに
安全に暮らすことを可能にしてくれるのです。
 
 

水の郷

一面に水が張られ、田植えを待つ山里の風景
新たなプロジェクトの関係で湯野地区の風景を見てきました。
 
 
 
 
 
 
棚田の水鏡に映り込む青空が美しい。
梅雨入り前の棚田では一斉に田植えが行われていました。
 
 
 
 
 
 
ほとんど湖のよう
 
まるで土地という土地すべてが水に満たされたような風景は
アスファルトに覆われた市街地に住む人間にはとても新鮮です。
 
 
 
 
 
 
水しぶきを上げながら、滔々と湧き出してくる清らかな水
山から湧き出した水は水路を通じてそれぞれの田んぼに導かれていきます。
 
あちらこちらに水の音が響き、豊富な水があふれる郷は
自然の豊かさを感じさせてくれます。
 
 
 
 
 
 
棚田の石垣と水田の苗
 
これらはあくまで人間がつくり出したものですが
不純物のない自然物だけでできた風景はなんとも美しい。
 
 
 
 
 
 
石垣は自然石を巧みに積み上げたランダムなもので
自然の形に寄り添いながら人間の知恵が加わってできています。
 
 
 
 
 
 
こちらの棚田はやや新しいものか・・・?
石垣のうねる曲線が現代建築のような造形にも見えます。
 
 
 
 
 
 
 
こちらはおまけですが
太陽の光を受けて黄金色にかがやく麦畑と新緑の山並み、そして青空
何気ないですが、みじかな場所にもこんなに美しい風景が存在しています。
 
 
 
 
 
 
山の中腹まで登って見下ろした湯野の郷
 
周囲の山に囲われた、すり鉢状の土地が
山から湧いてくる豊かな水の受け皿になっていることがわかります。
 
特別な何かがあるわけではないけれど
こんなにも豊かな郷だったのかと、再認識させられました。
 
豊かな自然に抱かれた水の郷は
じわっとインスピレーションを与えてくれました。