夏の高野山7

奥の院のクライマックス、御廟。
 
ここまでの2キロの道行きには織田信長や明智光秀などの戦国武将、
法然などの宗教家など、歴史上の重要人物も供養されています。
 
敵味方の区別や宗派の違いを超えてこの地に祀られる魂たち。
それら全てを受け入れてきた空海、弘法大師とはいかなる存在なのか?
 
835年、この地で入定し、信仰上は今も生き続ける空海、
争いの絶えないこの世界にあって、あらゆる違いを超えて慕われるその存在があり
奥の院には、寛容にして強力な包容力があふれています。
 
 
 

夏の高野山6

杉木立と墓碑たち
 
20万基を超える墓碑が並ぶ奥の院。
それらは杉の木立の中に無造作に置かれているようにも見えます。
 
人の手によって整備され、整然と並ぶ西洋の墓地とは違い
自然の地形の中に場当たり的に置かれたような墓地の風景。
 
それは、
あるがままの自然に応じていくという
日本人独特の自然観が無意識に現れているのかもしれません。
 

何気ない風景@福山本通商店街

早朝のまちなか風景
 
ややくたびれた感じの商店街、
歯抜けになった敷地が奥に二つ連続してできたまちのエアポケットです。
そしてその先に見える白いパラソルは・・・
 
 
 
 
 
その正体はこれ。
 
かつてはまちの中心商店街だった本通、時代の変化でシャッター通りが進行。
昨年、通りのアーケードを撤去し、四季を感じる居心地のよい空間に様変わりしました。
設計は地元の建築家、前田圭介氏
 
 
 
 
 
 
撤去されたアーケードの代わりに7000本のステンレスワイヤーが張られ
夜はライトアップで金色に光ります。
 
おそらく現実的な選択から電柱と電線は地中化せず露出していますが
無数のワイヤーはかすかなフィルターとなり、その風景をマイルドにしています。
 
 
 
庭のような居心地になるとカフェもまちに開かれ、
通りの雰囲気はさらによくなっていきます。
 
 
 
 
おそらく老舗のお茶屋さんですが
通り沿いに整備された緑が店を引き立てています。
 
 
 
朝早くから植栽に水やりをする人がいました。
「大変ですね」声をかけると、「大変だよ」と。
水やりは商店街の決まりなんだそうです。
 
緑は手入れしないとすぐ枯れてしまいます。
生き生きとした状態を保つには常に手入れが欠かせませんが
緑の状態を見れば、みんなが協力して維持しているのがわかります。
 
 
 
 
潤いのある緑、そしてベンチ。
居心地を生み出すための必須アイテムたちが
寂れかけたまちの復活をアシストしています。
 

夏の高野山5

大木の足元に並ぶ地蔵たち
 
設置されてかなり時を経ているのか、どの像も苔むしていて
木の根に押し上げられて、列にかなりの乱れも見られます。
左から二番目の地蔵の頭部はほとんどが欠けて表情もわからないほどです。
 
ここまで荒れ果てると、打ち捨てられたようにも見えるけれど、
前掛けだけは、新しいものがかけられていることから
信仰は生き続けていることがわかります。
 
そこには、
目に写る「かたち」以上の大事なものが確かに存在しており
建築とは別物ながら、本質の通ずるものが見えるようです。
 
 
 

櫛ヶ浜の家、瓦工事

2階屋根、瓦工事施工中。
骨組みの補強が概ね終わり、外部では瓦工事が進んでいます。
 
 
 
 
こちらは吹き替える前の2階屋根。
約100年の間に受けた台風などの影響で、屋根はかなり歪み、波打っていました。
 
 
 
 
 
今回、大工さんと瓦屋さんが苦心しながら調整してくれたおかげで
新しい屋根は、見た目には歪みがあまり目立たないようになっています。
 
 
 
 
瓦の葺き替えに合わせて、鬼瓦も新調。
中心に家紋も組み込まれています。
 
 
 
 
 
家紋付きの鬼瓦が取り付けられたところ。
 
骨組みの補強工事にかなりの手間と時間が取られましたが
ようやく、家の再生が目に見えるかたちになりつつあります。
 

週末連載 台湾38

競い合うように道路に突き出した袖看板たち
 
台湾編で何度も現れる混沌とした風景。
一見、日本の都市風景にも似ていなくもないですが、何かが違う。
 
それは、
工業製品にはない、人の手仕事による標準化されていない仕事ぶり。
その表情は、まるで人間の感情がむき出しになったようで圧倒的にリアルです。
 
 

夏の高野山4

杉木立の中に並ぶ五輪塔
 
奥之院の入口、一橋から空海が入定した御廟までの約2キロの道行きには
20万を超える数の墓石や慰霊碑が建ち並んでいます。
 
五輪塔と言われるこの墓塔は、下から地・水・火・風・空を表し
仏教の五大(宇宙を構成する要素)を形にしたものだそうです。
 
様式化されたデザインの奥には、石を積み上げて供養するという
人間のもつ根源的な心理が宿っているように感じられます。
 

夏の高野山3

高野山二大聖地のひとつ、奥之院の入口
 
入口、つまり表玄関ですが
日本の宗教的な空間というのは実に奥ゆかしい。
 
 
神社ならまだ鳥居があるのでしょうが、
ここにあるのは俗世と聖域を分かつ石橋、
そして、杉の巨木に覆われた曖昧な空間のみ。
 
しかし、それが故に
「何かありそうな」神秘的な雰囲気が
実体の空間以上の広がりを人間にイメージさせるのかもしれません。
 
そして、その広がりに値する、いやそれ以上の世界が
ここから歩いていく2キロの空間に展開しているのです。
 
 
 

駅ビル工事現場見学

工事が進む徳山駅ビル(周南市立駅前図書館)
 
周南市、内藤廣建築設計事務所、施工会社のご厚意により
内外装工事が行われている現場を建築士会の有志で見学させていただきました。
 
 
 
 
北口広場側1階のオープンスペース。
足場に覆われて見えにくいですが、外壁から6mのひさしが張り出し、
この部分がカフェのオープンテラスになる予定です。
 
 
 
 
2階、図書館スペース(一番奥は駅の自由通路へつながる出入口)
 
天井仕上は県産の杉板貼り。
全館で3500㎡、丸太100本分のボリュームになるそうです。
 
 
 
 
 
小割りにされた杉板を一枚一枚貼っています。
常に見上げながらの取付で首と肩が痛くなりそうですが
3500㎡もこの作業がつづくと思うと、本当に頭が下がります。
 
 
 
 
杉板の組合せ。
天井に貼る前にあらかじめ地上で並べて組合せをチェック、
自然な木目の表情が出るよう、板の並びを調整しています。
板幅を小さくしたせいか、杉とは思えない豊かな表情が出ています。
 
 
 
 
板の木口は、目透かしの本実加工。
目地幅、目地の深さをアレンジして、広い天井に抑揚のある表情を生み出します。
 
 
 
 
柱周りのディテール。
丸柱のカーブに合わせて、綺麗に切り揃えられています。
 
 
 
 
 
2階駅前広場側のオープンデッキ。
日常は本を持ち出してゆっくりと読書したり、会話を楽しんだりと、
駅前広場でのイベントの際は、見晴らしのいい展望デッキになりそうです。
 
 
 
 
 
これは手すりの天端を見たところ。
120mもの長い手すりですが、ビシッと一直線に通った見事な施工精度!
設計者と施工者の情熱がこんなところにも垣間見られます。
 
 
 
 
手すりの表面はステンレスメッシュで覆われていて
軽快で繊細な表情になりそうです。
 
 
 
 
 
 
メッシュを固定するボルトと受けプレート。
できるだけメッシュの透明感を邪魔しないように極限まで小さくデザインされています。
 
 
 
 
 
3階の図書室と会議室スペース。
すべての部屋がガラスを通してまちへとつながるようになっています。
 
 
 
 
屋上へ上がってきました。
 
ここは機械置き場で一般の市民には解放されないため
今回、この高さからまち並みを見られるのは貴重な機会かもしれません。
 
 
 
 
 
在来線に面した側はモスグリーンの壁面。
館名サインも取付けられ、11月の完成に向けて多くの職人さんが汗をかいています。
 
ネーミング問題では多少ギクシャクしているようですが
周南市のまちなかに待望の新たな交流の場ができるのだから
市民みんなで完成を楽しみにできるように盛り上げていきたいですね。
 
 

週末連載 台湾37

澄み切った青空とバイクの群れ
 
早朝の通り雨、その後の湿気がまとわりつくまちが一転、
抜けるような青空が現れました。
 
台北は雨がよく降り、1日のうちにも目まぐるしく天気が変化します。
 
その雨空が青空に変わった瞬間、
騒々しいバイクたちが信号待ちで起こした一瞬の静寂と重なって現れた
奇跡のような静止画です。