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荻上直美監督の映画「めがね」

 

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かもめ食堂」の空気感にさらに与論島の自然が加わり

こころに風が吹き抜けるような清涼感が残ります。

 

「この島には何もないからいいのかな~」

映画の中で主人公のタエコとヨモギが話していました。

 

あふれる情報、モノ、過密なまち、

現代都市には、窒息しそうなほどあらゆるものが詰まっています。

余計な知識、欲望、しがらみを捨て去れば

すっきりさっぱりと生きられるのでしょうにね。

 

静かな南の島には、

こころの底から人を自由にしてくれる、おおらかな力がありそうです。

 

2010.5.19 設計事務所 TIME

 

 

友人からの有難い知らせがありました。

 

今夜、画家アンリ・マティスの特集番組があります。

マティスが好きなあなた、そしてマティスを知らないあなた、

こころを幸せにしてくれるマティスの世界をのぞいてみませんか。

 

マティス 幸せ運ぶ"色の旅人"
チャンネル :BShi
放送日 :2010年 4月30日(金)
放送時間 :午後11:15~ 5月 1日午前0:04(49分)

 

2010.4.30 設計事務所 TIME

 

 

 

焼き物のいえとクルマ。

 

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咲景花吉田次朗さんの個展をやっています。

 

次朗さんとは、大津島の只只以来の縁ですが

「うつわ」という枠を身軽に乗り越える作品は

いつも、キュートで楽しいんですよ。

 

2010.4.22 設計事務所 TIME

 

 

 

書と画の溶け合う画面。

 

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坂本杏苑さんと下向恵子さんの二人展で

ささやかなパーティーに呼ばれました。

 

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自宅をギャラリーに見立てた空間で

アート三昧のひとときです。

 

身近なところに美の世界の楽しみがあるというのは

まことに豊かなことです。

 

2010.1.29 設計事務所 TIME

 

 

 

周南シネクラブの例会、

今回は中国映画「四川のうた」です。

 

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長江哀歌」のジャ・ジャンクー監督作というので

またどんな表現でくるのかが楽しみでした。

 

淡々とした長回しは共通しながら

"映画っぽくない"表現がむしろ映画に力を与えています。

 

現代中国に起きている社会の激動と中国文化の奥深さが

日本の穏やかさでは現れない凄みを感じさせてくれます。

 

2009.11.16 設計事務所 TIME

 

 

長府の毛利邸

 

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下関の現場の帰りに初めて寄りました。

今まで、行ったことがなかったのがもったいないくらい

すばらしい所でした。

 

今回は、坂本杏苑さんと関根みゆきさんの二人展を見てきました。

 

決して華美ではないけれどさりげなく品のいい空間に

二人の作品がとてもしっくり納まったいい展覧会でした。

 

2009.10.12 設計事務所 TIME

 

 

日経新聞の文化面に連載中の「美のよりしろ」、

今日のお題は「鉄塔」です。

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筆者はこの産業的形態に美は宿ると断定します。

果たして本当でしょうか?

 

以前に、東京タワーについて触れました

これも形態的には鉄塔と同類です。

 

少なくとも、

純粋無垢に機能を追及したこれらの形は、

20世紀にしか生まれ得ない必然性がありました。

 

機能主義を振り返り始めた21世紀の今、

「鉄塔」が、時代の感覚からずれ始めているのは確かです。

 

このズレの感覚が、

時間の経過により「郷愁」という触媒によって化学変化する。

 

そして、あるときヤゴが殻を破って脱皮するように

「郷愁」という表面の殻がはがれて「美」というかたちに昇華する。

それは十分にあり得る、と私は思います。

 

2009.6.24 設計事務所 TIME

 

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バンクシーという謎のアーティストがいます。

 

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スプレーを使って建物に落書きしたり、

美術館に勝手に作品を展示したり・・・。

 

まるでやりたい放題の悪ガキです。

でも、その正体がわかりません。

 

このほど、

イギリスのブリストル美術館で作品展をやるとか。

でも、会場にバンクシーが現れることはないそうで

やはり、謎のまま。

 

反体制なアートを通じた世直しのような感じが

どこか石川五右衛門を連想させるのです。

 

2009.6.16 設計事務所 TIME

 

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TDRのお土産。

一緒にお茶を習っている生徒さんからもらいました。

 

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なんとミッキーがせんべいになっちゃってる!

それも「しょうゆ」と「ごま」の2種類。

 

しかし、ここで

「ミッキーがせんべいになるか、フツー!」

などと否定的なことを言ってはいけないのです。

 

こんな疑問を投げかけること自体、ナンセンスなほど

TDRではファンに笑顔で買われていくのです。

 

袋のデザインをよく見ると

日本画のエッセンスが活かされています。

 

日本の野山にそびえるシンデレラ城!

そして、手前に微笑むミッキーとミニー。

 

この遠景と近景を配した構図もまた日本的。

誰も予想しなかった日本文化とアメリカショービジネスの融合。

 

ここに、混ぜる国、ニッポンの断片を見ることができるのです。

 

2009.6.15 設計事務所 TIME

 

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ランダム・インターナショナルによる鏡を使ったインスタレーション。

 

ロンドンのロイヤルオペラハウスでの動画がこちらのサイトで見られます。

http://vimeo.com/1920188

 

たくさんの鏡を使ったこのインスタレーション、

人が動くと、それに反応して向きを変えます。

 

鏡の面がキラキラと光って理屈抜きできれいです。

人の動きに反応して一斉に向きを変える姿は

どこか愛らしさすら感じさせます。

 

コンピュータによるプログラムを使ったテクノロジーは

アーティストの感性により、見事に詩的な世界に昇華しています。

 

2009.6.11 設計事務所 TIME

 

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周南シネクラブの定例会、

今回はスイスの映画「マルタのやさしい刺繍」です。

 

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高齢社会と保守的な村。

一見、負のイメージを持つ設定を覆す痛快なドラマです。

 

最愛の夫に先立たれた老女(写真左から2人目)

村の保守的な因習の圧力を乗り越えて

若い頃の夢だった「ランジェリーショップ」を開くという物語です。

 

この映画で、老女の友人の息子が「伝統」を振りかざして

新たな息吹を押さえ込もうとします。

 

しかし、どんなに年老いても夢と希望は強い!

そして、その年寄りが村を息づかせていくというのが興味深い。

 

伝統は寄りかかるだけでは腐ってしまいます。

人は伝統のために生きているのではなく

人の思いの積み重ねが伝統を進化させるのだと思います。

 

老いて豊かなり、

これは高齢化社会に突き進む日本にとって、

とってもリアリティのある映画です。

 

2009.5.18 設計事務所 TIME

 

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土曜の夜、デートリッヒのT村さんと友達のM上さんと飲みました。

互いに過激な意見が飛び交う痛快なひと時になりました。

 

そのT村さんがお薦めの映画が「暗い日曜日」。

 

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舞台は、ハンガリーのブタペスト。

時は第2次世界大戦前夜、

レストランを経営するユダヤ人、ラズロと恋人のイロナ。

そして、レストランに雇われたピアニスト。

 

この三人が繰り広げる不思議な恋愛関係。

そして、その関係もナチスドイツの台頭とその後の戦争により

さらに起伏のあるドラマへと展開していきます。

 

映画のタイトルになった「暗い日曜日」という曲

自殺ソングとも言われる曰く付です。

 

色恋や運命の綾が微妙にほつれながら衝撃の結末へ。

脚本、演技、映像など、クオリティの高いなかなか見ごたえのある映画です。

 

2009.4.27 設計事務所 TIME

 

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暑い日曜日の夕暮れ時、

テアトルブログさんに紹介されていた「PARIS」を見ました。

 

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元ダンサーで心臓の病気で余命短い青年と

シングルマザーの姉が主人公。

 

でも、この2人とは直接かかわりのない

お茶目な歴史学者やその生徒である美女。

 

ファッションモデルに

アフリカから不法入国してくる青年。

 

その他にも、ひとクセある登場人物が

パリの街で日々のドラマを演じています。

 

もしかしたら、

この映画の主役はパリのまちそのものなのかも・・・。

 

パリには4回ほど行ったことがありますが

旅行者が見るパリはあくまで外側からの顔。

 

でも、この映画で綴られている映像は、

パリの街を内側から見たような感じがとても印象的でした。

 

2009.4.20 設計事務所 TIME

 

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笑顔の花が咲くかわいい絵です

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スーパーノーマルなこの絵皿。

ご存知、村上隆のデザインです。

 

カーサブルータスの雑誌のおまけに付いていました。

 

最近、雑誌のおまけが流行っているらしいのですが

やんちゃ坊主がはしゃぎまわる雑多な我が家にも

この絵皿は自然に溶け込んでいます。

 

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雑草のような浸透性をもつデザインには、アートの重さがありません。

そして、「おまけ」的な感覚もまた、村上らしい。

 

2009.4.15 設計事務所 TIME

 

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今日はシネクラブの例会でした。

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12人の怒れる男」はロシアを舞台に

チェチェン紛争の孤児である少年が罪に問われた裁判で

12人の陪審員が評決に至るまでの経緯を描いたものです。

 

映画はとても演劇的でしたが、表現の如何は別にして

いかに人を裁くかというプロセスに意味を持たせようとしていました。

 

日本でも、新しい裁判員制度が始まります。

現在、裁判員に登録されている30万人のうち

その1/4が実際には選ばれないようですが

とにかく5月から始まってしまうのです。

 

それでもボクはやってない」でもそうでしたが

真実はひとつだけど、判決は一通りではない。

答えは「神のみぞ知る」のかもしれないけれど

それだけに、

事件に対していかに誠実に立ち向かえるかが

問われているのかもしれません。

 

2009.3.13 設計事務所 TIME

 

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山口のYCAMで開かれているデジタルアートの展覧会

情報化社会のインターフェイスの未来を切り開く意欲作が満載です。

 

これまで見てきたインタラクティブアートとは随分違って

コンセプチュアルで頭でっかちな感じがかなり薄れてきました。

 

子供でも、ストレートに感じることのできそうな

ダイレクトで進化した表現になっています。

 

まず最初に出会うのは、会場入口のナビゲーションペーパー。

 

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ドットの部分に指をふれると、映像が現れて情報を伝えてくれます。

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手を離すと、もとの白い紙にスーッとフェイドアウト。 

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デジタルな情報がスッと人に寄り添ってくれてる感じです。

こちらでも映像が紹介されています。

http://jp.youtube.com/watch?v=N-YAmjhjV_Q

 

 

一番刺激的だったのは、SINCHIKAのアニメーション作品。

 

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3Dと2Dが交錯して、不思議な浮遊感のある空間を創っています。

 

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現実と夢、過去と現在、田舎と都会、

いろんな錯綜が時間や場所の関係を曖昧にしています。

 

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reacTableというこの作品。

 

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丸いテーブルの上にいくつかのオブジェを置くと

互いに反応しあって音楽が鳴り始めます。

オブジェの関係性によってサウンドが多様に変化していきます。

 

他の作品もデジタル技術の技術くささが抜けていて

かなり楽しめる作品が増えてきたのがうれしいですね。

 

デジタルの世界はいつの間にか、ずいぶんと人にやさしくなってきましたよ

 

2009.1.23  設計事務所 TIME

 

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土曜日にシネクラブの例会がありました。

 

映画の舞台は、アパルトヘイト(人種隔離政策)、真っ只中の南アフリカです。

26年間、監獄に入れられたマンデラと看守の交流を描いています。

 

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映画を見ながら、パレスチナのことを思っていました。

アパルトヘイトは今のパレスチナそのものです。

ホロコーストを経験したユダヤ人は、

自ら大量殺戮を犯すという自己矛盾に陥っています。

 

南アとパレスチナの違いは何なのか?

 

それは、共存という選択肢。

民族や人種、宗教を超えた協調と和解。

マンデラが唱えた多様な柔軟性。

このことがいかに難しく、

しかし、いかに大切なことか。

 

2009.1.20  設計事務所 TIME

 

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映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」をDVDで見ました。

のっけからオトンが障子越しにゲロの火を吐いたり、

ジョン万次郎がモヒカンになってたり(わかりますか?)

シュールで、退廃的なところもありながら

オカンやオトンのヒューマンなスケール感が心にしみました。

 

オダギリジョーが樹木希林の手を引いて横断歩道を渡るところは

暖かさとさみしさが重なり合ったようなようないいシーンでした。

 

最後に真っ青な空にそびえる東京タワーが登場。

見上げた先に、角ばった展望室が少しぎこちなく、くっついています。

 

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東京タワーは構造家でもある内藤多仲の設計ですが

パリのエッフェル塔と比べると構造と機能一点張りで

エレガントさに欠けるとずっと思ってきました。

 

しかし、このたび映画で見たシーンでは

昭和の香り漂う懐かしさを感じさせる「味」が感じられました。

 

CADやCGが当たり前になったこの時代の目の高さから見える昭和の巨塔は

人間的な手仕事によるリアリティをともなった独特な個性がにじみ出ています。

 

昭和という時代にしか存在しえない形や表情というものが

今の時代から遊離して、おぼろげながら見えてきました。

 

2008.11.17

 

設計事務所 TIME

この夏に県立美術館で行われた日本美術展について

そのパフォーマンスのすごさについてこのブログでも紹介しましたが

ここのところ、「琳派」がいろんな所で取り上げられており

自分も書かずにはいられない気分になってしまったので

このブログでも少しふれさせてもらいます。

 

「琳派」とは、桃山末期から江戸時代に現れた華麗で装飾的な洗練された画風の総称です。

風神雷神図屏風で有名な俵屋宗達から、尾形光琳酒井抱一へと続くひとつの美意識がそこにはあります。

その中には、長谷川等伯や小堀遠州など、戦国時代以降のスーパースターと並んで

私が特に敬愛する本阿弥光悦の存在があります。

 

カーサブルータスの11月号でも紹介されていますが

光悦は単なる作家ではなく、稀代の目利きでありアートディレクターだったようです。

前述の県立美術館でも見ましたが

俵屋宗達の描いた源氏絵の上に、堂々と筆を走らせる大胆な力強さは、

それだけでこの人物のすごさを感じさせます。

カーサにも、同じく宗達の絵に紀貫之の和歌を書いた「鹿下絵新古今和歌巻断簡」が載っていますが

画と書という別々の媒体が絶妙の間合いで配置され、

ひとつの平面上に完全な統一をなしており、かつ優雅なことこの上ない風景をつくっています。

 

このように、光悦の作には斬新さと穏やかさが共存しています。

とかく、斬新なものにはどこか攻撃的な凄みがあるものですが

光悦のそれは決して攻撃的ではなく、穏やかです。

しかし、ありきたりかというとそうではなく

どんな作家の追随も許さないほどに洗練されています。

 

斬新でありかつ優美なその世界、

もしかすると、それは現代でいえば倉俣史朗三宅一生

それにつづく吉岡徳仁につながって行っているのかもしれません。

 

2008.11.4

設計事務所 TIME

 

毎回楽しみにしているシネクラブの映画を見ました。

「ONCE ダブリンの街角で」

舞台は、アイルランドのダブリン。

街角で歌うストリートミュージシャンとチェコからの移民の若い女性のちょっとした出会いから

話が展開していきます

 

映画の宣伝では、音楽を通じたラブストーリーとして紹介されていますが

私が見た限りでは、それはそれほど強くは感じられませんでした。

むしろ、アイルランドの持っている風土や人間の営みがにじむように感じられました。

映像の中に、男と女のそれぞれの家を訪れるシーンがありますが

どちらにも貧困や、移民、高齢などの現実があり

しかし、粘り強く生きている人の暮らしが描かれています。

そして、

華やかな現実の裏側に存在している日常的な悲しみのなかに

まるで薄日がさすように音楽を通してささやかな喜びのシーンが差し込まれていきます。

これはまさに、アイルランドの空そのものという感じがしました。

 

私がアイルランドを訪れたのは、今から10年ほど前。

8月の夏の盛りにもかかわらず、

その年は異常気象でどんよりと厚い雲に覆われることの多い旅でした。

そもそも、それがアイルランドの風土そのものなのかもしれませんが

エンヤの形而上学的なサウンドに引かれてアイルランドを訪ねた自分にとって

それは、重苦しくとも、本質の一部を感じることができた体験でした。

 

話がそれましたが

この映画の背景にも、そんな風土のもつリアリティがしっかりと表現されているような気がしました。

抑制の効いた、いい映画でした。

 

2008.9.14

設計事務所 TIME

日本美術というと、ちょっと古臭くて退屈なもの、

そんなイメージをもつ人も多いかもしれません。

山口県立美術館で開催されている展覧会で

この日本美術のもつ新たなパフォーマンスを感じてきました。

 

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明治維新以後、急激な欧米化にハンドルを切った日本は

それまで培った日本文化を断ち切って西洋化を図りました。

しかし、明治以降の歴史はたかだか200年足らず。

1000年以上もかけて培った日本文化には文化的な奥行きがあります。

 

今回改めて感じたのは

日本の画は絵画というよりデザイン画のようだということ。

狩野山雪の描く屏風画もそのひとつ。

飛ぶ鳥と松、杉で構成された雄大な広がりが表現された画では

描く対象の数を絞り込んで(還元して)

画面のベストポジションにまるで貼り付けるように構成しています。

ここでは時間のもつ同時性や同一の場所という観念は薄れていて

あくまでコンポジションで画ができている感じです。

それは浮世絵になるとさらにはっきりしてきます。

写楽の錦絵は完全なポスターです。

フランスのロートレックが活躍したのが19世紀末なので

それより100年近くも前にこのような感性が存在していた先駆性がわかります。

 

画法をとってみてもその多彩さに驚かされます。

狩野派による花鳥図屏風。

主題である季節折々の花や鳥が山紫水明のなかに描かれています。

背景となる木々や水の流れ、苔むした岩などはかなり抽象化され、グラフィックな表現で

鳥や花だけが細密に具象的に描かれています。

主題と背景が同一画面の中でまったく違った表現として同居します。 

本阿弥光悦が俵屋宗達に下絵を描かせ、和歌を筆で書いた和歌色紙帖では

大胆かつ繊細な筆使いが宗達の絵の上を踊るように走り

字と画が融合した、意味を持ったひとつのコンポジションが表現されています。

特に江戸時代の画は、画法がさらに多彩になり自由な表現があふれています。

 

ひとつひとつ見ていくと語りつくせないほどいろいろ気付きがありましたが

日本人が生み出してきた美術がいかに独創的で多様であったかということに

いまさらながら気付かされたといった感じです。

 

2008.8.11

設計事務所 TIME

今朝の桜はきれいでした。

4月になって朝の山歩きを再開。(花粉症でしばらく出られなかったので)

 

桜というのは満開に咲きほこったときもきれいですが

咲き始めや散り際はさらに情感があって美しいと思っています。

 

山の桜もまだ三部から五部咲きでまわりの緑の中にうっすらと春を感じさせる按配が実にいいです。

そんなことを感じながら山を歩きました。

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今日、録画していたNHKのプロフェッショナルを見ました。

ウェブデザイナーの中村勇吾氏をフューチャーしたものです。

 

彼のつくる先鋭なデザインは斬新で少しマニアックかもしれません。

しかし、番組の中で中村氏はデザインの決め手に「心地よさ」という尺度というか感度を大事にしているとのこと。

非常に興味深いところです。

 

先端のデザインを創造しながら、そこにヒューマンな感度が宿っているのがいい感じです。

 

ITやあらゆるテクノロジーが進化し、社会がどんどん変わっていく中で

いわゆる寸法上の尺度だけでなく、感覚や感性、気持ちや心理などの尺度についての

新たなヒューマンスケールが求められる時代になりつつあるのかもしれません。

 

桜を眺めて心が動く、この頭で考えても出てこない、人間だけが持っているそんな感度が

どこかで中村氏の言う「心地よさ」というヒューマンスケールの感覚にシンクロしているような気がします。

 

2008.4.5

設計事務所 TIME

今日はエディット・ピアフの映画をみました。

フランスの国民的な象徴であった歌手を描いた映画です。

 

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この映画には、愛の賛歌という副題が付いていていますが

エディットの宿命ともいえる抗いがたい人生模様が強く心に響きました。

 

幼少の頃からその人生を大人たちに翻弄されながら

天性の歌声により人生に一本の道が開かれる。

その道も決して滑らかな道とはいえないのだけれど、

神から授けられた歌うことがすなわち人生そのもの、

そこに普通の人間では経験することのない強烈な振幅があり、

哀しいとか楽しいとか恐ろしいとかとは違う深い感銘のような

とにかく心に刻まれるものがある映画でした。

 

映画は自分にとってはほんの趣味といったところですが、

デザインを仕事とする人間にとしては、ある種のビタミンみたいなものとも言えるかもしれません。

 

建築も映画も心が震えるというところで、

人生にとってかけがえのないものという共通点を感じます。

 

2008.3.14

設計事務所 TIME

 

 

先週は、とにかくいろいろありました。

いろいろありすぎて整理しきれないので、改めて整理しようと思います。

 

今日、山口情報芸術センターで「いのちの食べかた」という映画を見ました。

 

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タイトルからして何かあるな!

という感じですが、

この映画はドキュメンタリーで

映画の全編にわたり人が

食べる肉や野菜がどうやって作られ、

育てられ、食材になるかを

淡々と映像と音声で綴っています。

 

 

 

そこには、あまりに単調で無機質な生産風景がひたすら展開していきます。

映像とともに聞こえるのは、工場の空調換気の音、工作機械の擦れる音、モーターの音、エンジンの音など。

生き物を育てているというにはほど遠い無機質さです。

 

グローバルの時代に食の安定供給を支えるための効率化は、

かなり矛盾した生産風景をつくってきたことがわかります。

 

牝牛を前に雄牛を無理やり発情させ、受精した瞬間に精子を採取して

それを人工授精させる。食物連鎖とは無縁の生の循環。

孵卵器から生まれた大量のひよこをベルトコンベヤーで種分けしていく工程。

人工的にそだてられ、感情も感謝もなく淡々と屠殺されていく牛や豚たち。

 

これらは、私たちの食生活の豊かさの裏側に潜む矛盾をあぶりだしているようです。

 

日本では、食の安全や40%を切る自給率などがいま問題になり

「食育」を進めようという動きもありますが

「食」を考える時に、この映画は最高の教材となるかもしれません。

 

2008.2.24

設計事務所 TIME

今日、広島市立大学の芸術学部を訪問しました。

私たちの住む地方をどう活性化するのかというヒントのひとつとして

アート作品で地域を活性化する試みについて、先生からいろいろな話を聞くことができました。

 

 

080204-1.JPG これは、長崎県や島根県などの一地方で

行われたアートプロジェクトの資料。

どのプロジェクトも、地方とは思えないほど

のクオリティでビックリ!

日本のいろんなところで地域の環境を巻き

込んだアートプロジェクトが行われているこ

とを知りました。

 

 

 

お話の後に、いろんな作品やキャンパス、屋外彫刻の実物などを見学しました。

 

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学生の作品もなかなか質が高い!

これは、御影石を独特な削り方で削った

作品。

石とは思えない柔らかな表情がありました。

 

しかし、教室に仮置きされたまま

今のところ、行き場が無いというのは

なんとももったいない話。

 

 

 

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大学内の工房。

彫刻制作のためのとても広いスペースが

設けられています。

学生たちもさぞかし作りがいがあるだろう

な、と思える最高の環境でした。

 

 

 

 

 

080204-01.JPG これは、完成した作品の仮置き場。

広い原っぱらに無造作に置かれている。

 

学生たちが懸命に作った作品だが

これも今のところ行き場なし。

 

 

 

 

 

080204-02.JPG このコンクリートのオブジェは立方体の

中が複雑にうねるようにえぐられている。

 

石に比べるとコンクリートは風化が早く

鉄筋の錆びが滲み出している。

これを下敷きにして錆びの出にくい技術

を検討しているそうです。

 

 

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不毛の大地にあえぐように身をよじる悲痛

な姿にも見える人体彫刻。

当面の行き場のない彫刻たちはなんとも

切なそう。

 

 

 

 

 

 

建築と同様、アートの世界でも20世紀になって世界中に大量の作品が生み出されました。

しかし、社会に受け入れられなければ、日の目を見ることなくゴミと化す危険も大きいのです。

大量消費から環境重視の時代に変わった今、アートにとってつくる自由の前提に、

より一層社会との接点が重要になってきたのだと実感しました。

 

地方活性化とアートの接点を考える上で、大きな問題提起をもらった気がします。

 

2008.2.4

設計事務所 TIME