宇部の家、耐震調査

昭和11年に建てられたという木造平屋の家、
入母屋づくりの堂々とした佇まいです。
 
築85年ということで内部はさすがに老朽化した部分も見られますが
随所に職人技が施された風情ある日本家屋です。
 
時を経て、味わいを増したこの家を次の世代に引き継いでいくことは
社会的にも文化的にもとても意義深いことです。
 
このたび、改めて計画を進めることになりました。
 
内装の改修に伴い、耐震改修も検討されたいとのご要望があり
まずは、現在の状況を簡易調査するために伺いました。
 
 
 
 
 
 
既存の玄関はつくりは古いですが、
玄関建具や欄間は丁寧な仕事がされています。
 
この部分は新たにキッチンに改修する予定ですが
玄関建具は他の場所に移される玄関で再利用も検討します。
 
 
 
 
 
玄関から続く内縁部分
内縁の外(写真右側)はコの字に囲われた中庭になっています。
 
この中庭全体にウッドデッキを敷き込んで
内と外がつながる生活空間へと拡張する予定です。
 
 
 
 
 
 
耐震調査は、今回もグリーンデザインオフィスの岩田さんにお願いしました。
 
まずは、小屋裏の骨組み形状を確認し、振動を計測するため
押入れの点検口から天井裏に潜っていきます。
 
 
 
 
 
小屋裏に設置した計測器によって微細な振動を計測、
この家の固有周期などを測っていきます。
 
 
 
 
 
 
柱を揺らして振動を起こし、それによる揺れ方もチェック。
 
 
 
 
 
柱部材などの含水率も測っています。
 
建物の南側は15%程度でよく乾いていますすが
北側や建物中央の風が回りにくい箇所は25〜30%と含水率が強くなります。
 
含水率が一定以上高くなると部材の強度が下がるため
これらの条件も考慮しながら評価していくことになります。
 
 
 
 
 
一通り建物内部の計測が終わったところで屋外に移動し、
地盤の固有周期を計測します。
 
敷地のそばを国道が走っているため
車が通るたびに振動が激しくなります。
この振動の状況によって地盤の硬さを判定することができます。
 
建物と敷地地盤それぞれの固有周期を測ることで
地震時に起こる共振についてもチェックすることが可能です。
 
 
 
 
 
調査の最後には小型ドローンが登場。
 
 
 
 
 
 
古い建物で図面が残っていないため、
ドローンを飛ばして真上から屋根の形状と最高高さをチェックします。
 
今回の調査で得られたデータをもとに
これから既存建物の耐震性の評価を行い
耐震改修の内容や方法を検討していきます。