伊勢神宮おはらい町に見るまちづくり

 
 
猿田彦神社前交差点から神宮入口まで約800m、
通りは一見、歴史を感じさせる風情あるまち並みです。
 
しかし実際には、戦後に車社会で劣化したまち並みが
それ以前のデザインへ創造的復元がなされたものです。(下の画像)
 
車社会は便利だけど、
副作用でまちの質が劣化するのはどこも同じですね。
 
 
 
 
国土交通省HPより)
 
しかし、伊勢はそのまま時代に流されるままにせず
便利さの誘惑を絶って、まちの質を向上させることに舵を切ったのです。
 
平成元年に「まちなみ保全条例」を制定、
沿道建物の建築協定、電線地中化、石畳舗装の整備など
景観整備の3点セットでまち並みを充実。
 
また、内宮入口近くにあった駐車場を
あえて1km近く離れた猿田彦神社側に整備し直し、自家用車を誘導。
おはらい町への車の進入も規制し
参拝者は駐車場からおはらい町を歩いて通り抜ける動線に改良。
 
おはらい町沿いの建物は「伊勢造」と呼ばれる
妻入りの伝統様式でまち並みを統一。
 
おはらい町中央にはおかげ横丁を整備、
伝統的なまち並みをモチーフにした低層で回遊性のある
商業エリアが加わりました。
 
この巨費を投じた事業の実現には、
あの有名な赤福による民間投資が大きく貢献しているそうです。
 
地元住民が中心になり、官民がうまく連携したまちの復活。
それが冒頭の写真にある賑わいを生み出しているのです。