急に寒くなりました。

季節が暦に追いついて晩秋の風情です。

 

忙しい世の中では、なかなか季節感を感じる余裕がありませんが

ひとの居場所に自然を上手に近づけることができれば

その居場所はちょっと豊かな場所になるかもしれません。

 

先日、このブログで触れた

寒いときは寒いと感じる豊かさがある、と言いましたが

四季の移ろいに寄り添って暮らしてきた日本人ならではの豊かな文化は、

何とか受け継いでいきたいですね。

 

周南団地の大内町にある石田整形外科は、

道路に面したリハビリ室が全面ガラス張りになっています。

これは、道路の向こう側にある土手の緑を借景として取り入れたためです。

 

img008.jpgのサムネール画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど今頃は、イチョウがきれいに色づく季節です。

怪我の治療をしていても、季節の移ろいをにわかに感じるそんな場所です。

 

2008.11.18

 

設計事務所 TIME

 

映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」をDVDで見ました。

のっけからオトンが障子越しにゲロの火を吐いたり、

ジョン万次郎がモヒカンになってたり(わかりますか?)

シュールで、退廃的なところもありながら

オカンやオトンのヒューマンなスケール感が心にしみました。

 

オダギリジョーが樹木希林の手を引いて横断歩道を渡るところは

暖かさとさみしさが重なり合ったようなようないいシーンでした。

 

最後に真っ青な空にそびえる東京タワーが登場。

見上げた先に、角ばった展望室が少しぎこちなく、くっついています。

 

DSC00240.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京タワーは構造家でもある内藤多仲の設計ですが

パリのエッフェル塔と比べると構造と機能一点張りで

エレガントさに欠けるとずっと思ってきました。

 

しかし、このたび映画で見たシーンでは

昭和の香り漂う懐かしさを感じさせる「味」が感じられました。

 

CADやCGが当たり前になったこの時代の目の高さから見える昭和の巨塔は

人間的な手仕事によるリアリティをともなった独特な個性がにじみ出ています。

 

昭和という時代にしか存在しえない形や表情というものが

今の時代から遊離して、おぼろげながら見えてきました。

 

2008.11.17

 

設計事務所 TIME

アキレス腱の手術をしてから1ヶ月。

つないだ腱がようやく、くっついてきたようです。

しかし、怖いのはこれからで、誤って足を踏ん張ってしまったら「ブチッ!」、らしいです。

 

それにしても足が不自由になると、

歩くことはもちろん階段の昇り降り、トイレや入浴がかなり面倒です。

いままで、設計する建物でも必要だから仕方なくつけていた手すりが

これほど役に立つものだということを身をもって知りました。

 

建物にとって、手すりは空間デザイン上の重要なポイント。

できれば手すりがないほうがすっきりするけれど

必要な手すりは、なんとかしてバランスを図ってやらないといけません。

その中でも身障者トイレは、いろんな機能が重層するのでまとめるのが特に難しいもののひとつ。

 

そこで思い出したのが 、

以前、スイスで見たピーター・ズントー設計のクール・ビュンドナー美術館。

ここの身障者トイレがよかった。

さずがズントー、手すりも含めてちゃんと絵になっている。とにかくオシャレです。

 

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表情のある花崗岩にステンレス鏡面の手すりの取り合わせがエレガント。

ペーパーホルダーも含め、金属の仕上げを統一。

便器やトイレットペーパー、掃除用の備品は白色で合わせて

モノトーンのなかに、黒い自然石、金属、その他の白い形でシブくまとめています。

 

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これは可動手すりを倒したところ、手で握る部分にグリップ状の凹凸あり。

これらも含めて、手すりはすべて特注でデザインしてあるようです。

(間違って既製品でやると、一気に安っぽくなってしまうので要注意)

日本の身障者トイレと比べると、かなりシンプルでご丁寧な説明書きも一切排除。

本当に必要なものだけが慎重に吟味されて、空間のデザインとのバランスも抜群です。

 

身障者トイレと言えども

ただ使えるだけじゃなくて、心地よく使えるところがやっぱエライ!

 

2008.11.15

 

設計事務所 TIME

 

東京の21_21 DESIGN SIGHTで行われている「セカンドネイチャー」展。

そこに、吉岡徳仁の『ヴィーナス-結晶の椅子』が出品されています。

結晶が成長して形成されてできるそのプロセスを自然の原理として追及しています。

 

インテリアデザイナーの倉俣史朗やファッションデザイナーの三宅一生に師事し

独自の感性を磨き上げて、今では世界屈指のデザイナーへと成長した吉岡氏。

 

わたしは、

かつて東京の北山孝二郎氏のもとで仕事をしていた際に一度だけお見かけしたことがあります。

当時、わたしが三宅一生氏のオフィスの設計を担当していた時

インテリアの壁の色を決める際に三宅氏が紹介したのが吉岡氏でした。

彼は、「こんな感じの壁にしてください」と言って鮮やかな黄色と黄緑色の布の端切れをもってきました。

壁は白、というのが当時の事務所のスタンダードだったところに

鮮やかな色で、かつ紙の色見本ではなく、表情豊かな布地の見本を出してきたときの斬新さを

今もはっきりと記憶しています。

 

今回の「セカンドネイチャー」展の作品について彼はこう言っています。

 

「エコロジーということだけではなく、自然の美しさを再確認して、自然の力を使って未来をつくりたい」

 

この言葉には、環境問題を対処療法的に捉えるのではなく

自然そのものを本質的に捉えることで未来を志向していくという

彼独自の鋭く、かつしなやかな感性が現れています。

 

この視点は、我々が関わる家にも置き換えることができそうです。

考えてみると、

最近の住宅のエコロジーといえば、ハードや設備ばかりがにぎやかで

人間としての自然との付き合い方がないがしろになっているような気がします。

太陽光発電やエコキュート、省エネ型の照明や外断熱。

これらは、エネルギーの使い方から発想されたもので決して悪いものではないですが

これで自然を大切にしたことになるのかというと何か違和感が残ります。

これらを重装備した家なんて、逆にメチャメチャ不自然なかんじがします。