「まちのとおり」を提案

周南市のシンボルロードである御幸通りと岐山通り。
 
戦災復興を目指して生まれたこの通りができて70年あまりが経ち
 通りのまち並みも少しずつ変化してきました。
 
今後さらに時代が動く中でも通りのゆとりを守りつつ、
その価値を高めて豊かな市民生活の舞台となることを目指す、
そのための方針を建築士会徳山支部としてまとめ、周南市に提案しました。
 
 
 
 
 
 
提案内容は3つ。
 
1つ目は、今ある通りのゆとりをしっかりと守ること。
今後まちなか居住で開発が進む可能性があるマンションなどの大規模建築物に対し
通りのゆとりと調和が保たれるように、一定のルール作りをすることです。
 
 
 
 
 
 
2つ目は今の通りの居心地をさらに磨いていくことです。
 
通りには様々な看板やサイン、自動販売機やゴミ箱など
たくさんのストリートファーニチャーが存在します。
 
しかし、それらのデザインは必ずしも統一感があるわけではなく
形や大きさ、色合いがバラバラです。
 
歩行者に一番近い位置にあるこれらのデザインが通りと調和するように
デザイン指針をつくることを目指します。
 
 
 
 
 
 
そして3つ目は
ゆとりある通りの環境を市民生活を楽しむ舞台として活用しようというものです。
 
通りのゆとりやデザインがよくなっても、
ただ眺めるだけ、通過するだけの場所に留めるのはもったいない。
 
そこで、施設やお店が通りと連続したゆとりのある環境となって過ごせる
心地よい場所にしようというものです。
 
 
 
 
 
2つの通り沿いには、昨年完成した徳山駅前図書館や、市庁舎が面しています。
その他、学校やスーパー、コンビニなど日常生活に密着した機能が集まっています。
 
これらの施設を通りとの関係性を意識した使い方ができるように誘導することで
 豊かな市民生活の受け皿にすることを目指すものです。
 
 
 
 
 
今回、徳山支部の有志でまとめたこの提案書に対し、
駅前図書館の設計者である内藤廣さんからもエールをいただきました。
 
これを励みにしながら
地域資源をしっかりと磨いて価値を高める活動を展開することを目指します。
 
 

震災遺構を考えてみる

東日本大震災から今日で8年、
復興が一つずつ形になりつつありますが、
心の整理がつかない状況もまだまだ多く見受けられます。
 
そのひとつが
震災遺構を取り壊すか、保存するかの議論です。
それは、建物や遺構のあり方を改めて考える機会を与えています。
 
震災の悲惨さを経験した人にとって、
おぞましい存在である建物は、一刻も早くなくなって欲しい。
 
その一方で、
存在が失われれば、
震災の経験を持たない人にその悲惨さを伝える機会を
永遠に失なってしまうのではないか?
 
震災遺構は、
広島の原爆ドームが平和を考える存在として生まれ変わったように
後世の人にとって意義のある存在となるのでしょうか?
 
我々は未来にどのようなメッセージを残すべきか
そのために、建物はどのような役割を持てるのか
これからもしっかりと見極めていきたいと思います。

 

2019.3.11 設計事務所 TIME 

室積のフォトスタジオ、地盤調査

下松に続き、室積のプロジェクトでも地盤調査を行いました。
 
敷地は広々とした平坦な土地ですが
海に近い砂質の地盤でもあり、土中の状況が気になるところです。
 
調査結果にもよりますが、
基礎や地盤改良、コストの調整など、まだまだ調整が続きます。
 
 
 

やまぐち建築セミナー、内藤さん再来

周南建築セミナー、
2002年に続き、内藤廣さん2回目の講演会です。
 
前回の会場は建替え前の徳山駅ビルでしたが
今回は内藤さん設計により建替えられた徳山駅前図書館での開催です。
 
 
 
 
講演会に先立ち、
我々建築士会のまちづくりメンバーと、いつもの喫茶店にてミーティング、
現在作成中の景観提案書にたくさんのアドバイスをいただきました。
 
 
 
 
その後、駅前図書館に移動して講演会。
 
旧来型の作品紹介のような講演会とは異なり、
内藤さんが来場者からの質問にアドリブで答えていくというスタイル。
 
ライブ感満載、生きた言葉のメッセージをお聞きする90分、
とても刺激的で画期的な講演会で、多くの気づきをいただきました。
 
 
 
 

全国まちづくり会議 in 兵庫

神戸で行われた全国まちづくり会議に
山口県代表として出席してきました。
 
会場は六甲山を望む石屋川沿いに建つ御影公会堂、
アールデコ洋式の印象的な外観が目を引く建物で、
以前にも一度視察に来たことがあります。
 
その後、耐震補強、全面改修を施され、
地域のシンボルとして再生されています。
 
 
 
 
 
会議1日目は24年前に起きた阪神淡路大震災を起点に
その前後に兵庫県が取り組んできたまちづくりの経緯、
市民協働のまちづくりの実践などを聴講。
 
 
 
 
 
震災での経験を経て住民参加によるまちづくりが促進され、
まちづくりの様々な課題を住民と行政が協働で解決していく
仕組みが強化されたことが印象に残りました。
 
 
 
 
 
2日目は未来に向けたまちづくりを具体的に議論。
 
防災・歴史・景観・福祉・空家対策という5つの切り口から
建築士として何ができるか、ワークショップなどを通じて模索しました。
 
 
 
 
 
 
震災により、神戸の歴史的建築物は半減したそうです。
まち並みもその後の再開発によって新旧のモザイク模様になりました。
 
しかし一方で、まちづくりに対する市民の意識は鍛えられ
傷を負いながらも、誇りあるまちを築き続けています。
 
今回の議論や体験を持ち帰り、
自分たちが住むまちのまちづくりに生かすべく
建築士として活動していくことが次の使命になります。
 
 

相生町の家、外構完成

昨年の6月から行われていた住宅の改修工事、
外構部分のフェンスが完成し、工事完了です。
 
茂り過ぎていた庭木や生垣を整理し、
化粧ブロックとアルミフェンスによるすっきりとしたデザインで
敷地境界を引き締めています。
 
 
 
 
ちなみにこちらが工事前。
内部の改修で敷地北(写真奥側)から南側への玄関位置が変わったことに伴い、
駐車場との境界フェンスも一新しています。
 
 
 
 
 
 
アプローチは間口の中央部分に配置し
右側には目隠し効果のある化粧ブロック、
左側には室内への通風を考慮したアルミフェンスで構成しています。
 
 
 
 
今回は敷地境界から玄関までの距離に余裕があったため
正面から2度の曲折りによって視線に変化をもたせたアプローチになっています。
 
 
 

西豊井の家、実施設計へ

昨年の春から設計を進めてきた西豊井の家、
南庭に開けたLDのパースです。
 
南北に細長い敷地形状に対し、建物を北寄りに配置、
隣地から引きを取り、奥の隣地側にカーポート、手前に南庭を確保し
そこから明るい日差しの差し込む居心地のいい空間です。
 
 
 
 
 
 
庭側から見たLDK
 
ダイニングには自宅での仕事ができるワークスペース、
収納量豊富なキッチンカウンターとその奥にキッチン収納。
 
効率的に家事と仕事をこなして、くつろぎの時間が過ごせるような
機能と居心地をバランスさせた落ち着いた空間です。
 
これから見積り調整を経て、実施設計の詰めに入ります。
 
 

人間らしいくらしとは? くらしの豊さとは?

あけましておめでとうございます。

昨年は3年越しのプロジェクトだった秋穂東の家のリノベーションがついに完成、
ITやAIで世の中がどんどんスピーディーに動く時代に
あえて時間をかけてじっくりと家づくりをする貴重な機会をいただきました。
 
これから本格的なAI時代の到来とともに、
私たちの暮らしはさらに便利になり
より快適さを求めて変化し続けていくでしょう。
 
その一方で、人間らしいくらしやくらしの豊さなど
AIではカバーできない領域が必ず影となって現れることでしょう。
 
人間らしいくらしとは、くらしの豊さとは
本来、どんなものなのでしょうか?
 
その本質的な問いを常に意識しながら、
これからの設計に取り組んでいきたいと思います
 
本年もどうぞよろしくお願いします。
 
 

2019.1.5 設計事務所 TIME

何気ない風景@LOGの質感

尾道のLOG、
もともとアパートの共用廊下だった場所です。
 
まったく「インスタ映え」しそうにない何気なさですが
見栄えを競う表現とは対極の、奥深い質感が随所に潜んでいました。
 
 
 
 
 
壁の出隅部分
粗めのモルタルによるザラザラとした質感、
さらに角は丸く削られていて、陰影がとてもやわらかくなっています。
 
 
 
 
 
階段の角や壁との取り合い部分
すべての角という角に丸みが与えられ、面の境界が曖昧になっています。
 
 
 
 
 
樋の落とし口
排水溝、床端部の立ち上がり部分、そして階段
こちらも角の処理は徹底されています。
 
この淡い質感は、
あたかもジョルジュ・スーラの点描のような静謐感を感じさせます。
 
 
 
 
 
スチールの手すり
手すり自体も丸パイプで角もゆるやかに曲げてあります。
 
手すり子のベースになっているフラットバーの角も
丸く削られているのがわかりますか?
 
こんなところにまで一貫した考えが現れていて
設計者による並々ならぬ思いが伝わってきます。
 
パイプの塗料もつや消しで
光は反射ではなく、にじむように物質を映し出します。
 
 
 
 
 
カフェの内部
カウンターは木下地に和紙を貼り、漆で仕上げられているそうです。
その手触りはやわらかく、鉄とは異なる温もりが手に伝わってきます。
 
 
 
 
 
天井の左官仕上げ
職人の指導のもと、スタッフ達で仕上げたそうで
その苦労と込めた思いが濃縮されています。
 
 
 
 
 
土間は左官の掻き落とし
床はそのままベンチにつながり、一体の仕上げになっています。
 
ここにはシャープな造形や派手な表現は存在しません。
 
しかし、
慎重に吟味された質感がコンクリートの建物を包み込んで
静かで奥行きのある空間を成立させています。
 
体験することでしか味わえないこのクオリティ、
時間の流れ方さえ覚醒させてしまうような力を感じます。