週末連載 台湾39

迪化街に向かう途中、
突如現れた要塞のような集合住宅。
 
巨大な壁面もさることながら、そこに張り付いた庇、室外機、バルコニー。
どうやら個々の居住者のニーズに応じて後付けされたようです。
 
そのイレギュラーな構成が巨大壁面の威圧感を和らげて
生き生きとした人間くさい表情を獲得しています。
 
それにしても、
この後付けパーツ、一体どうやってつけたのか・・・?
 

2017.9.16 設計事務所 TIME 

夏の高野山8

高野山、もうひとつの聖地、壇上伽藍
 
高野山を開いた空海が修禅の道場として伽藍を建立。
左手が金堂、朱色が鮮やかな多宝塔は道場のシンボル根本大塔です。
 
壇上伽藍には宗教上重要な建物がいくつも配置されていますが
それ以前の法隆寺や東大寺に比べ、軸線や中心軸などが曖昧です。
 
その一方、
杉木立の中にゆったりとした間合いで配置されたランドスケープは
むしろ、伊勢神宮の境内などに近い感じがあります。
 
古神道にも通ずる真言密教の自然観がそのまま現れているようで
その世界観はすべて人に開かれ、心を開放するおおらかさを持っています。
 
 
 
 

 

櫛ヶ浜の家、配筋検査

櫛ヶ浜の家では、増築部分の基礎工事が進行中。
配筋検査を行いました。
 
 
 
 
土間や立上り部分の鉄筋径、間隔、継手の長さなどをチェック。
 
 
 
 
土間部分のかぶり厚さチェック。
こちらはかぶりが4センチしかないため、
スペーサーを入れ直してかぶりの修正を指示。
 
 
 
 
こちらのかぶり厚さは十分です。
 
 
 
 
櫛ヶ浜特有の鰻の寝床状の細長い敷地の奥行きを生かした増築棟、
既存棟との間にあるマキの木を残し、
坪庭をはさんで新旧の空間が向かい合う形になります。
 

夏の高野山7

奥の院のクライマックス、御廟。
 
ここまでの2キロの道行きには織田信長や明智光秀などの戦国武将、
法然などの宗教家など、歴史上の重要人物も供養されています。
 
敵味方の区別や宗派の違いを超えてこの地に祀られる魂たち。
それら全てを受け入れてきた空海、弘法大師とはいかなる存在なのか?
 
835年、この地で入定し、信仰上は今も生き続ける空海、
争いの絶えないこの世界にあって、あらゆる違いを超えて慕われるその存在があり
奥の院には、寛容にして強力な包容力があふれています。
 
 
 

夏の高野山6

杉木立と墓碑たち
 
20万基を超える墓碑が並ぶ奥の院。
それらは杉の木立の中に無造作に置かれているようにも見えます。
 
人の手によって整備され、整然と並ぶ西洋の墓地とは違い
自然の地形の中に場当たり的に置かれたような墓地の風景。
 
それは、
あるがままの自然に応じていくという
日本人独特の自然観が無意識に現れているのかもしれません。
 

何気ない風景@福山本通商店街

早朝のまちなか風景
 
ややくたびれた感じの商店街、
歯抜けになった敷地が奥に二つ連続してできたまちのエアポケットです。
そしてその先に見える白いパラソルは・・・
 
 
 
 
 
その正体はこれ。
 
かつてはまちの中心商店街だった本通、時代の変化でシャッター通りが進行。
昨年、通りのアーケードを撤去し、四季を感じる居心地のよい空間に様変わりしました。
設計は地元の建築家、前田圭介氏
 
 
 
 
 
 
撤去されたアーケードの代わりに7000本のステンレスワイヤーが張られ
夜はライトアップで金色に光ります。
 
おそらく現実的な選択から電柱と電線は地中化せず露出していますが
無数のワイヤーはかすかなフィルターとなり、その風景をマイルドにしています。
 
 
 
庭のような居心地になるとカフェもまちに開かれ、
通りの雰囲気はさらによくなっていきます。
 
 
 
 
おそらく老舗のお茶屋さんですが
通り沿いに整備された緑が店を引き立てています。
 
 
 
朝早くから植栽に水やりをする人がいました。
「大変ですね」声をかけると、「大変だよ」と。
水やりは商店街の決まりなんだそうです。
 
緑は手入れしないとすぐ枯れてしまいます。
生き生きとした状態を保つには常に手入れが欠かせませんが
緑の状態を見れば、みんなが協力して維持しているのがわかります。
 
 
 
 
潤いのある緑、そしてベンチ。
居心地を生み出すための必須アイテムたちが
寂れかけたまちの復活をアシストしています。
 

夏の高野山5

大木の足元に並ぶ地蔵たち
 
設置されてかなり時を経ているのか、どの像も苔むしていて
木の根に押し上げられて、列にかなりの乱れも見られます。
左から二番目の地蔵の頭部はほとんどが欠けて表情もわからないほどです。
 
ここまで荒れ果てると、打ち捨てられたようにも見えるけれど、
前掛けだけは、新しいものがかけられていることから
信仰は生き続けていることがわかります。
 
そこには、
目に写る「かたち」以上の大事なものが確かに存在しており
建築とは別物ながら、本質の通ずるものが見えるようです。
 
 
 

櫛ヶ浜の家、瓦工事

2階屋根、瓦工事施工中。
骨組みの補強が概ね終わり、外部では瓦工事が進んでいます。
 
 
 
 
こちらは吹き替える前の2階屋根。
約100年の間に受けた台風などの影響で、屋根はかなり歪み、波打っていました。
 
 
 
 
 
今回、大工さんと瓦屋さんが苦心しながら調整してくれたおかげで
新しい屋根は、見た目には歪みがあまり目立たないようになっています。
 
 
 
 
瓦の葺き替えに合わせて、鬼瓦も新調。
中心に家紋も組み込まれています。
 
 
 
 
 
家紋付きの鬼瓦が取り付けられたところ。
 
骨組みの補強工事にかなりの手間と時間が取られましたが
ようやく、家の再生が目に見えるかたちになりつつあります。
 

週末連載 台湾38

競い合うように道路に突き出した袖看板たち
 
台湾編で何度も現れる混沌とした風景。
一見、日本の都市風景にも似ていなくもないですが、何かが違う。
 
それは、
工業製品にはない、人の手仕事による標準化されていない仕事ぶり。
その表情は、まるで人間の感情がむき出しになったようで圧倒的にリアルです。
 
 

夏の高野山4

杉木立の中に並ぶ五輪塔
 
奥之院の入口、一橋から空海が入定した御廟までの約2キロの道行きには
20万を超える数の墓石や慰霊碑が建ち並んでいます。
 
五輪塔と言われるこの墓塔は、下から地・水・火・風・空を表し
仏教の五大(宇宙を構成する要素)を形にしたものだそうです。
 
様式化されたデザインの奥には、石を積み上げて供養するという
人間のもつ根源的な心理が宿っているように感じられます。