庇のモックアップ

室積のフォトスタジオにつける金属の庇、
その形状をチェックするため、モックアップを作ってもらいました。
 
コストを節約しつつ、デザインの質にもこだわった結果、
アルミプレートを曲げたものを丸鋼で吊るだけのシンプルな構造になりました。
 
それでも余計なものがそぎ落とされ、プロポーションもまずまずです。
 
 
 
 
斜めから見たところ。
 
先端の折り曲げは水切りの役目をもつとともに、
薄いプレートがたわまないように強度も確保しています。
 
 
 
 
 
 
吊り材の根元部分のディテール
 
がセットプレートの形状がいまひとつなので
よりすっきり見えるように形状の修正をお願いしました。
 
建物側のベースプレートは外壁下地の中に隠れますが
外壁の防水シートとの納まりがやや不安なため、
プレートサイズをひと回り大きくしてもらうよう指示。
 
シンプルでさりげなく、かつ基本的な強度や防水性能なども満たすため
最終のデザインに向けてさらに調整を行なっていきます。
 
 

配筋検査@室積

室積のフォトスタジオで基礎工事が始まりました。
鉄筋が組み上がったところで配筋検査を行いました。
 
 
 
 
 
海に近いロケーションのため
高潮対策として、通常より基礎を高く持ち上げ
地面から60センチの高さに設定しています。
 
 
 
 
1階スタジオ部分は土間仕上げで、
このレベルがほぼ床仕上がりレベルになります。
 
 
 

ヤコブセンを訪ねて

世界で唯一のヤコブセンの専門店が大阪の池田市にあります。
 
アルネ・ヤコブセンの孫であるトビアス・ヤコブセンと
ハウスマネージャーの国吉玲子さんの出会いから生まれたというこの店。
 
昭和初期に作られた洋裁学校が廃屋になっていたものを
国吉さんたちが自力でリノベーションしたそうです。
 
その、やさしい雰囲気や穏やかなまちの雰囲気を気に入り
奇跡のような場所がトビアスによって生み出されたのだそうです。
 
 
 
 
 
簡素な切妻の建物はその天井を取り払い、小屋組をそのまま現し、
壁と共に白く塗装してプレーンな空間に仕立て直しています。
 
古くて均質でない部材たちは白く塗られて
リアルな質感と控えめや表情で空間を和ませてくれています。
 
 
 
 
 
 
訪れた日は天気が安定せず、雨が降ったり止んだりでしたが
天窓からの柔らかい光が、簡素な空間に温かみを与えていました。
 
 
 
 
 
 
時折、雲が晴れて差し込む光が木漏れ日となって
白い空間を劇的に変化させてくれたりもしました。
 
 
 
 
 
 
トビアスによってプロデュースされたこの店では
アルネ・ヤコブセンの家具や照明などが取り扱われています。
 
ヤコブセンを信奉する私にとっても
家のようなスケールの中で実物を肌で感じることのできるとても貴重な空間です。
 
 
 
 
 
 
まるでデンマークにある古い家のような柔らかい空間には
シンプルで洗練されたヤコブセンのものたちがよく映えます。
 
 
 
 
 
 
窓際には、トビアスがデザインしたプロダクトも
 
 
 
 
 
モルタルのカウンターにホーローらしき古いシンク、
木製の棚や雑貨たち、そこにさりげなくヤコブセンのデスクライト。
 
時を経てきたものたちが柔らかく溶け合っています。
 
 
 
 
 
イギリスのアンティークのドアと白黒のコントラストが際立つアントチェア。
これらを取り合わせたセンスが、時間の積層を豊かに表しています。
 
 
 
 
 
 
雑貨を集めたこちらのコーナー、
イイノナホさんの照明やグラスアートがさらに色を添えています。
 
古さを欠点とせず、そこに宿る時間や固有の表情を引き出し
現代の感性で上手につなぐことで生まれる豊かな時空間。
 
私の設計したカピンコーヒーや大津島の石柱庵とも通ずる感性に共感しつつ
国吉さんとしばし会話を楽しみ、豊かな時間を過ごさせていただきました。